令嬢は友達が欲しい

ああ、なんて素敵な髪かしら。

綺麗な紅色。まるで血のよう。

意志の強そうな葡萄色の瞳。わたくしと同じ高貴な口調に美しい容姿。

凛として優しい炎のような人。



どうしましょう、どうしましょう。

初めてのお友達はあの人がいいわ。


ずうっとお友達が欲しくてたくさんお手紙を出したのだけど、みんなすぐ燃やしてしまうの。たまに遊びに来てくれても、わたくしを見るとみんな逃げ出してしまうの。


わたくしから逃げる足なんていらないわよね。わたくしを追い払おうとする手なんていらないわよね。

でもいらないものを取ってあげたら、みんなおしゃべりできなくなってしまうの。

酷いわよね、酷いわよね。わたくしはお友達が欲しいだけなのに。



だけどあの人は大切にしてあげる。

足も腕もなくして、わたくしの懐に仕舞ってしまいましょう。愛して愛されて愛して愛されて、そうすればわたくしは独りじゃなくなる。



ねえ、素敵な人。

今からアイに行くわ。



じゃまされたせいで縁が足りないけど、アイしているからきっとだいじょうぶ。

真っ赤なしずくが滴るドレスに真っ白なお肌。

頭はどこかに落としてしまったけど、そのかわりに素敵な帽子をつけましょう。



――待ってて、一番かわいいわたくしでアイに行くわ


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