第50話 いきなり退学者?

 合格発表はアカデミーの校舎に大きな板が設置され、そこに合格者の名前が張り出される形で行われた。


 1 コウジ

 2 アモネス

 3 ライラ

 4 エリーヌ

 5 レナ

 6 オージー

 7 ラミィ

 8 ミスティー

 9 セリーシャ

 10トロロ

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 喜び合う者もいれば唖然とする者もいる。

 晃司は己の1番よりラミィの上位合格を喜んだ。

 その場で両脇を抱えてクルクルと回った程にだ。


「晃司、は、恥ずかしいよ!みんなが見ているよ?」


 そんな晃司の行動にライラは羨ましいなと思うが・・・

 ラミィとのくるくるが終わると晃司は次のターゲットを決め、抗議するライラの声を無視してやはりクルクルをする。


 アモネスがやって欲しそうな顔をしていたので晃司は同じようにクルクルしていた。


 アモネスは恥ずかしいですわ!と嬉しそうにしていて、見ていた者達は唖然としていた。


 また、3人娘も順当に上位におり、アモネスが喜ぶ様を見て晃司の事が好きなのだと確信していた。


 その後入学手続きをし、アカデミーの割り当てられた部屋に行くのだが、部屋は合格発表の順位順に良い部屋を割り当てられた。

 上位2人がスイート、6位までが最高級、10位までが高級となり、今年から専属メイドが充てがわれる事になった。


 これは成績上位者に対する優遇から、皆が上位を目指すように仕向けたに過ぎない。


 晃司はメイドをどうするか悩んだが、彼女、つまりあの国王から晃司が抱くなりをしないと娼館送りになるサシャと言う娘を思い付いた。


 ラミィは思い付かず、アモネスに一任した。

 それもあり、部屋を見る前に国王に報告とメイドのお願いをしに行った。


 そうして入学式当日、入学生総代として晃司は皆の前で話した。

 もうバレていると観念していて開き直ったのだ。


 入学式前日にあの3人娘が土下座して勇者様!どうか無礼を許して欲しいと、涙ながら訴えてきたからだ。

 3人はそうかも?と思い、カマをかけたていたのだが、なんだもうバレていたのか・・・と答えてしまったのだ。


 何故気が付いたのかは、アモネスとの距離感があまりにも近く、不自然な点が大きかったからだ。


「まず言っておくが、貴族がどうの、王族がどうのは魔王から見たら関係ない。ここでも同じだ。爵位を盾に弱い立場の者をやり込めたら俺がそいつを社会的に抹殺し、親の爵位まで剥奪してやる。文句があれば聞いてやるが、俺はそういった奴を駆除してやる!」


 何処からともなく平民が偉そうに!と聞こえてきた。


「馬鹿な奴だ。今すぐに荷物をまとめて帰れ!アモネス、手配を頼めるか!?」 


「はい。晃司様」 

 

「嫌なら今直ぐこの場で土下座をして謝罪しろ。ここに身分の貴賎はない」


 アモネスの指示により警護の者が該当者を引きずり出して来た。


「最後のチャンスだ。俺の話を遮った事を侘び、選民思想を捨てると誓え!」


「だ、誰が貴様のような卑しい平民に頭を下げるか!死んだ方がマシだ!」


「じゃあ、こいつの親はいるよな?何かあるか?状況が分かるよな?」


 青ざめた1人の男が晃司の前に出て来て土下座した。


「どうか愚息の失礼をお許しください。全ては私の教育の失敗になります」


「頭を下げるのをやめてくれ。あんたの頭を下げられてもね。今晩だけ待ちます。明日の朝始業のベルが鳴るまでは笑って許します」


 その男は慌てて出ていった。


「言っておくが、俺が仲間として引き連れて行くのはあくまで信頼のおける奴であり身分はどうでも良い!俺は冒険者だし、アモネスは言うまでもない。礼儀正しくされれば礼を持って握手しよう!喧嘩を売る奴には相応の厳しい対処をしよう!皆励め!以上だ!」


「続きまして、国王陛下の代理として新入生でもあるアモネス君のスピーチになります」


 そうして波乱の入学式が始まったのであった。

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