第44話 国王の代わり
国王はメイドがいなくなると晃司に話し始めた。
「晃司君、私の代わりにあの子達を抱き、身籠らせてくれないか?」
「ちょっと何言っているんですか?」
「唐突過ぎたかな?」
「ちょっと意味が分からないのですが?あれですか?自分の女を他人に寝取らせないと興奮出来ない人ですか?」
「いや。至って真面目に話しているのだよ。昔祖先が受けた呪いが私に発動してね。私からは女しか生まれないし、30歳で性欲がなくなり、最早子種を注げないのだよ。先程のメイドの顔を見たか?残念そうにしていただろう?皆生娘なのだよ。夜伽も本当の意味で夜伽だけしかできないんだ。あの子達も身籠らないと家に帰れないんだよ。君はアモネスを娶るのだろう?アモネスとの子が1番なのだがね」
「そんな都合の良い話なんてないですよ?俺を試しているんでしょ?」
「助けて欲しいんだ。魔王が現れるというのは間違いなんだ。アモネスは魔王が降臨すると信じているようだが、予言書の解釈によっては魔王が降臨するとあるが、私の見解は内乱の危機なのだよ」
「じゃあ俺は何の為に召喚されたんだ?」
「勇者の子が必要なのだ。国王の子として勇者の子を得ないと早晩この国は滅ぶ。だからお願いしたいんだ」
「冗談なら性質が悪いぞ!」
「私が君を騙す理由があるかい?それに私の立場でするような事じゃない」
「ハハハハハハ!こりゃあいいや!俺は種馬になる為に異世界にわざわざ来たのか!はははは」
「こう見えてもすまないと思っているのだよ」
「じゃああのレナ達3人を俺に充てがうというのは、アイツラも騙されていたって事か?」
「あの子達は何も知らないんだよ。君にとっても悪い話しじゃないと思うんだ。国王に充てがう美女を選り取り見取り抱けるし、何より何人もの子供を残せるんだよ」
「でも、俺には・・・」
国王はベルを鳴らした。すると先程のメイドが現れた。
「彼は晃司。勇者だ。私は彼の子を私の子として扱う。彼から子種を貰いなさい」
「畏まりました。晃司様、私は来月には・・・恐らく処刑されます。奴隷商より来月中にせめて陛下のお手付きが無ければと言われています。身籠らなくてもせめてお情けを頂かなければ良くて性奴隷として娼館で客を取らされます。拒否するならば死を選ばざるを得ません。既に命ぜられており、その奴隷商も今は王都にいません。死ぬのも、多くの男を相手させられるのは耐えられません。せめて勇者様のお情けを!」
その女は涙していた。
情けないが、そのように泣いて縋ってくる女相手でも体は正直だ。
ブロンズのロングだろうか、髪は後ろにまとめられている。
上品な17歳前後、つまり同年齢帯の女だ。
引き締まった体は見事で、胸もそこそこある。
はちきれんばかりに大きくなっている自分に対し、国王の息子は一切反応していない。
裸の美女が目の前にいても、幼い子供を風呂に入れているお父さんといった感じだ。
国王もこの女もしっかり見ている。
鼓動が激しい。
俺にお情けを貰い肌を重ねないと死か娼婦の2択しかないというが、何をしたのだろうか?
「何をして今の状況にあるのか聞いても良いか?」
国王の方をちらりと見る。
「国家反逆罪に問われて有罪になり奴隷落ちになり、身籠らないまでも間違いなく何度も子種を頂戴していると判明する必要があります。奴隷商の配慮で陛下のご寵愛を賜っているとなると陛下に献上する事になり、後は陛下次第だと」
「何をしたの?」
「晃司君、それ以上は肌を重ねないと話せないぞ。ただ、彼女の罪ではなく、親類の罪なのだ。彼女の叔父が私を殺そうとしてね。その場合国家反逆罪として3等親以内の男子とその妻は処刑、女は奴隷落ちになるのだ。彼女は既に奴隷となり奴隷商の判断で私の所に送られてきたのだよ。私も法律を破る訳には行かず、抜け道として私の後継者になる君の子を私の子とすれば国の内乱を防ぐ事が可能なのだ。多くの民を、親類のとばっちりを受けた彼女を救ってくれないだろうか」
国王が土下座して頼んできたので晃司は慌ててその体を起こした。
混乱しているからと、今日泊まる部屋で一旦考えを整理させて貰う事となり、風呂を出るのであった。
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