第30話 実技試験と練魔法場

 筆記試験が終わると即時に解答用紙の回収が終わったが、引き続き午後からの実技試験について説明がされた。


 既に魔法を放てる者はターゲットに向かって魔法を発動し、ターゲットを破壊する。


 使えるのが攻撃系以外の場合、例えば結界を張れるような者であれば張った結界に対し、講師が特定の強さの魔法を放ち、それを防ぎれるかどうかや強度等を確認する。


 また、回復系の場合は回復魔法を実際に掛けて傷が癒えるかどうかを確認する。

 本人が自分に対して使えない場合は従者の腕にナイフで軽く切り傷をつけ、それを治療する。

講師や在学生の中に治癒魔法を使える者がおり、万が一に備えて待機をしている。

 訓練をしていない場合、痛みから集中出来ずに自らに治療魔法を使えない場合があるのだ。


 また、魔力を持っているが魔法を覚えていない者に対しては、魔力を注ぎ込むとファイヤーボールを放つ事の出来る魔道具を貸し出す。


 それを使いターゲットを破壊する!そういう内容であり、お昼休みの後直に試験が開始される。


 また、そレまでの間はと言うと、食堂で昼食を済ませたり魔法の練習場である錬魔法場にて魔法の練習をする事が可能で、基本的に自由時間だ。


 今回は魔力を回復する為のポーションをアカデミーが用意しており、例え練習で魔力を使い過ぎてしまって魔力が枯渇してしまっても回復ができる。


 また、使い慣れていない魔道具を貸し与えられるので、必ず1発は放つようにときつく言われていた。


 また、従者の方は木剣を使って講師と模擬戦闘をする。

 余程の事がない限り落とさないとは言っていたが、従者というのは基本的に魔法が使えない。

 その為武器で主を守る事になるのだが、木剣も握られないようであれば話にならない。

 倒した相手から奪った武器で主を守る事もあり、幅広く使われているショートソードは多少でも使えないと話にならない。


その為、剣を振れるか否かの確認をするに止めるのだが、プラスしてその者の実力を確かめる為でもある。


 そういう点で言うとエリーが1番厳しかったりする。

 生粋の受付嬢なので、正直なところ近接戦闘が厳しい。


 この1週間猛訓練をし、晃司も少し技を教えた。

 と言っても、見様見真似なのだが、無手で組み合った時の護身術、柔道の出足払いのみをやらせた。


 初見殺しとなれば良いが、小柄な体を活かす方向でやっていた。


 試験参加者はこれから試験まで自由時間となったが、余裕のある者は早々に食堂に繰り出したりする。

 校内を見て回ったり、何故かお茶会を開いている者もいたりする。

 なんだかなぁと晃司は呟く。


 そして晃司はというと自力で魔法を放てない為、魔導具を借りたので早速ラミィと練習に行く。


 晃司は後をつけられていて、早速廊下で絡まれた。


「おい平民!貴様何者だ?」


 振り向くと従者の1人が主人を従えて詰問してきた。


 晃司はさっと値踏みするようにひと睨みする。


「俺の事か?それとも彼女の事か?それとも従者の方か?」


「貴様だ!そこの白髪男!貴族様が聞いているのだ!質問を質問で返すな!」


「はあ。見ての通り俺は冒険者で、城から姫騎士を従者としてアカデミーを受験する者を募集していたから応募して、試験を受けに来ただけだが」


「き、貴様!平民風情が偉そうにするな!不敬だぞ!」 


 ネリスが割って入った。


「貴様は従者だな。我が主に対する無礼はこのネリスが許さんぞ!姫騎士団副長兼第5分隊長のネリスが話を聞いてやる!姫騎士は皆貴族の子女で、私自身は準男爵ではあるが爵位持ちだぞ!」


 そいつはちっと舌打ちをし、主人の髪をぐいっと引っ張りクズだののろまだの罵りながら去っていった。


「男爵風情が!」


 ネリスが呟いた。


「ネリス、ありがとう。お陰で助かったよ。よく爵位が分かるね」


「はっ!鞄に家紋が刻まれているのが見えましたが、あれは男爵の地位を示しています。しかもあくまで親の地位であり、私のように本人が爵位を持っていません」


 そうしていると魔法を練習する錬魔法場に着いたのであった。

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