第28話 試験会場へ

 アモネスの意外な本性を見せられ、晃司の心はアモネスに少し惹かれていった。


 ただ、聞き捨てならぬライラについての話しが気になる。

 抜群のプロポーションで、写真集を出せばミリオンセラーになるのではと思う程の裸体だった。


 受け入れると言っていた言葉が現実問題としてブレーキを掛ける。


 これがもしも好きになったとか言われて迫られ、既成事実を作るのに脱いでいたらやってしまった自信がある。


 キツ目の見た目と、奔放そうな言質と俺に突っかかって来るので少し苦手だ。

 

だが美人ではある。


 それはそれとして普段からオンとオフの切り替えがきっちりしている晃司は、文字の読み書きの練習で時折アモネスを叱っていた。

 ぼーっとしていて、晃司の質問に中々答えないからだ。


「教えてもらっていて悪いが時間がない。体調が悪いなら他の人に教えてもらわないと試験が怪しくなる」


「あっはい。ごめんなさい。少し考え事をしていました。これの書き順ですね?書きやすい方で良いですわ。筆記体とそうでない時で違いますし、人により話が違いますから。その部分の意味はそれで・・・」


 晃司の体力気力共限界に近かった。

 朝から体力作りと神殿浴場にお金稼ぎ、勉強と剣の稽古と休む暇がなかった。

 アモネスの買い物をというのも、晃司に伝えたのも嘘で、晃司には息抜きが必要だと感じたアモネスが一計を案じたのだ。


 その効果は覿面で、アモネスが指示してライラが甲斐甲斐しく世話をしたのもあり、試験日にはなんとか貴族の子供、そう、10歳位の子供が読む本が読み書き出来る程度になっていたが、試験前日も夜遅くまで勉強をしており、ラミィが心配するほどだった。


 案の定試験当日の朝から欠伸をしまくり、それでもお金がギリギリの為、神殿浴場に行くのを止められなかった。


 今日は試験当日なので、晃司のみ神殿に行き、宿に帰ると服を着替え王立アカデミーにラミィ、エリーと向かった。

 エリーは宿にて待ち合わせをしていた。

 ネリスは城からの呼び出しで晃司が神殿浴場に行っている間に城に行っていた。


 アカデミーはこの国にある1番大きな屋敷より1回り大きい。

 デザインは凝っているが、日本の学校を思い出すような作りだ。


 晃司はここを建てた奴か設計した奴は過去の召喚者?と思うので、後で聞こうとした。

 だが、学園関係者にここを作ったのは日本人ですか?とは聞けない。

 取り敢えず受付に向かって行った。


 アカデミーの入り口にある受付で受験票を渡し、ステータスカードを確認された。

 これは替え玉受験を防ぐ為で、試験中に何度か確認が入ると言われた。


 過去に替え玉受験をして合格した者が魔力無しと分かり、それも有力貴族の子息だったので今更退学にもできず困った事があり、それからだそうだ。

 どこの世界にもあ有るんだなあと。

 それと実技は公開試験だそうで、裏口入学で実力も無いのに受かる者が出るのを防ぐ汚職対策だそうだ。


 だからアモネスとはいえ試験をちゃんとうけなくてはならない。

 また、従者予定の者も筆記試験は受けなければならない。

 これは文字の読み書きが出来なければとてもではないが授業について行けなくなるのと、最低限の常識が無ければどうしようもないからだ。


 試験はこの国の文字で書かれていて、この国の文字で回答とあり、他国の者も受けられるが、文字の読み書きがネックだ。


 また、従者も試験がありライラやネリスも来ていた。

 何故かライラは普段のメイド服、ネリスは騎士団の制服と異彩を放っていた。


 案内標識に従い校舎に入り、指定された場所、つまり講義室に行く。

 複数の講義室があり、晃司とラミィは同じだが、アモネスは別の場所だった。


 エリート推薦組や貴族の子ばかり集められており、先の晃司に捧げられるはずの3人もいた。


 晃司には確かに見覚えがあった。

 真っ裸を見たのだ。

 ネリスとエリーがいるのでアモネスがネリスに頑張りなさいと声を掛け、エリーにまた後でねと親しくしていた。

 だが、従者の出自ではなく、受験者の出自で会場を決められていたので、廊下で別れたのであった。



 

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