第26話 紳士検査と記憶操作
晃司は準備しなければというか、欲しい物がなくはないので、アモネスを伴って町に繰り出す事にした。
だが、ライラが晃司を部屋の端に引っ張り、壁ドンをすると耳元に余計な手間を掛けさせるなとまくし立ててきた。
晃司の口の高さ位がライラの身長なので、見上げる感じだ。
取り敢えず収納に入れていたラミィー用の町娘が着るような服を出し、着替えてもらう事にした。
城で意識を取り戻した時に無限収納のスキルを持っていると分かり、色々な物を入れていたのだが、その中にラミィの着替え等も入れており、助けてくれたお礼に色々な服を買っていたのだ。
残念ながらアモネスは1人では着替える事が出来ず、ライラを呼んで着替えさせていた。
これだから王族はと晃司はぼやくも、目の前で着替え始めたので慌てて背中を向けた。
「あら、背中を向ける位の事はするのね。言っておくけど、もしもお嬢様に何かあったらちょん切るわよ!」
「言われなくても全力で守るさ」
「そっちの事じゃないのだけども、そっちになったら殺すからね。あんたは死んでも良いけど、お嬢様だけは守りなさい!それと同じような服を他には持っていないのですか?」
「ワンピースで良ければあるが、ラミィのだから胸がきついかもだぞ」
「デリカシーのない事。時間がないから出しなさい」
「おまっ!何やってんだよ!」
「欲情していないで服を渡すか、着替えを手伝いなさい」
ライラがメイド服を脱ぎ捨て、下着のみになり・・・ブラなんてのはないのでトップレスだ。
その為におっぱいがぷるるんだ。
それは生で見た2人目のおっぱいだ。
ライラは中々のモノをお持ちだが、晃司は慌てて万歳をさせて着せていく。
「私の胸は堪能しましたか?」
「お前っ!やっぱりわざとか。何がしたいんだよ!?」
「お嬢様の代わりに先ず私を抱きなさい。言っておきますが、体を自由にできても心まで自由に出来るとは思わない事です」
「これライラ。晃司様をからかわないように。晃司様は紳士様なのですから、そのように挑発しても乗ってきません事よ。あなたの裸体を見ても落ち着いて服を着せていましてよ。心配しなくても、私と2人になったからと言って襲ってきたりはしませんし、以前から言っている通り、私は既に晃司様の女の1人なのですから、そのようになるのは寧ろ私が心から望む事なのですわよ」
俺はため息しか出ない。
多分俺の紳士度を見極めたいのだろう。
ここで焦って眼の前の餌に飛びついてはならない。
ハニートラップと言うのだろうか。
「うーん。ライラの乳首が透けて見えるからこのままだと外に出られないぞ。なあ、この世界には胸を覆う下着はないのか?」
「確かに透けていますわね。ライラも出掛ける予定なのですか?」
俺とライラはため息しか出なかった。
俺達の後ろをつけて護衛するに決まっているだろうに、このお姫様はそこに思い至らないような箱入りだった。
アモネスはポンと手を叩いた。
「ライラ、私のドレスのインナーなら大丈夫では?貴女の方が胸が大きいから少しきついかもですが、出してください」
因みにアモネスはというと、肌着を着ていて大丈夫だった。
ライラがすぐに出してきたが、インナーというよりコルセットだ。
それを晃司に手渡したが、晃司はなんで俺に渡すの?といった感じだった。
「何をぼさっとしているのですか?早く私に着けなさい!美少女の胸を間近で見られるのですよ!嬉しいでしょ!」
「何で俺がお前にインナーを着けてやらなきゃいけないんだ?まあ確かにお前の見た目は黙っていたら美人だが」
「お嬢様にさせるつもりか?」
晃司はライラに後ろを向かせ、前はアモネスに持ってもらった。流石に前は刺戟が強い。
後ろの紐を軽く引っ張り蝶結びをしていく。
「いつもこれをされるのですが、普段はメイドさんが数人掛かりで力一杯締めるので、息が苦しいのですよ」
「映画とかで見た事があるよ。確かにこれを思いっきり締めたらウエストは細くなるが、苦しそうだな」
「・・・こっちは何とかなるから、お嬢様の服をよく見てあげて欲しい」
アモネスは映画?と呟いていた。
晃司がアモネスの服を見ようとすると、ライラが側に立て掛けてあった鞘に入ったままの晃司の剣で頭を殴り飛ばした。
晃司は何があったか分からぬまま意識を手放した。
「ライラ、貴女何をしているのですか?」
「記憶を消します!お嬢様に言われたようにしましたが、私はともかく、お嬢様の肌を見た記憶を消し去らねばなりません!もう数発殴れば消えるでしょう!」
「ライラ、落ち着きなさい。貴女らしくもないですよ!それでは晃司は死んでしまいます!そうですね、晃司は夢を見ていた事にしましょう!」
「どうするのですか?お嬢様はそのような魔法をお持ちではないですよね?」
「いつもの貴女なら考えそうな事ですよ。晃司を椅子に座らせ、机に突っ伏してもらいます。私達は貴女の部屋で晃司に渡された服を着ていて、戻ったら晃司は寝ていたのです。記憶を消すのは無理でも、実際に見たのではなく夢で見た事にすれば私達の肌はまだ見られていなかった事に出来るでしょう!」
「流石はお嬢様です!」
「それよりも人となりを見極められましたか?紳士であると理解しましたか?」
「正直驚きました。私も彼に抱かれる覚悟が決まりました。それにお人好しですが、中々の紳士ですね。王族や貴族を相手にしても媚び諂う事もなく、鍛えられた体には不覚にも男を感じました。この身と純潔を捧げる事に依存は有りません。私はお嬢様の筆頭侍女。幼き日にお嬢様が勇者召喚を行い、それが男であった場合、お嬢様と婚姻される前にその方の練習や筆下ろしをするのは私の役目。ただ、筆下ろしはラミィだと思います。まだ女性経験がないと言っていたのと、初めては好きな女性と青臭い事を言っておりましたが、どうやら本心のようです。ネリスへの対応からもどうやら己を完全に律しており驚きました。勿論万が一の時はお嬢様の子としてこやつとの子をなすのも大丈夫ですわ。それに妾になり悪女を寄せない為に虜にするのも忘れないですわ。彼はチョロそうよね」
「私は貴女に返せない恩を背負うのですね。確かに晃司はチョロそうですけれども、決してそのように私達が思っていると悟られてはなりません。それにくれぐれも焦ってはなりませんよ。私はこの人に愛しているとか好きだと言わせたいのです。惚れた人に好きだと言われるのはさぞ心地良いのでしょうね」
「何を言うのですか!私はこやつを気に入りましたから抱かれたいと思います。お嬢様の所為では有りません。それに幼き日に孤児院から救って頂けなければ今頃は死んでいたか娼婦をしていたに違いありません。ですからお気になされずに。気にするのでしたら、救って頂いた恩をこやつの女になる事で返したと思ってください」
そうこうしていると晃司が唸りだしたので、2人で椅子に運び、文字の勉強をしている途中に寝た感じにした。
そして仕上げとしてアモネスは痛みを取るべく、初級の回復魔法を使ったのであった。
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