Ⅲ 『国際連合と軍縮問題』の説明
1 国際法による平和維持
以上のように、国際秩序を作るため、
国際法が作られる。
だが国際秩序といっても、
いきなり世界政府を設立するわけではなく、
世界平和を維持する努力がなされる。
そのために国際法すなわち条約により、
国際平和機関が設立され、
軍縮が行われることになる。
国際平和組織の構想は14世紀にまで遡るが、
サン・ピエール、カント等の思想を経て、
国際連盟・国際連合により結実した。
軍縮についてはすでにカント等が提唱していたが、
第二次大戦後の軍備(特に核兵器)競争の中で、
その必要性が痛感されるに至った。
2 集団安全保障と個別的安全保障
これらの背景には、20世紀に現れた、
集団安全保障の思想がある。
他方では強国の実力や勢力均衡に基づく
国際秩序も存在したし、
古くはウェストファリア条約が
勢力均衡原理を採用していたが、
これらは個別的安全保障を前提とする。
個別的安全保障では、
個々の国家がそれぞれ仮想敵国を
想定しつつ、あえて戦争も辞さずに、
軍備増強・軍事同盟などにより
自らの安全を確保する。
これに対して集団的安全保障では、
全ての国が同じ国際組織に入って、
その外部にも仮想敵国など考えず、
戦争を否定して、侵略国には
他の加盟国が制裁を加えることにより、
集団的に平和の維持を図る。
個別的安全保障は軍備競争、
ひいては戦争につながりやすいが、
国際社会の性質上、依然として
存在し続けている。
また集団安全保障には、
国連のように一般的なものと、
NATOのように地域的なものがある。
しかし、現代においても
前者には制約があることから、
後者に〝集団的自衛権〟を認めて
強化した結果、後者が軍事同盟的な
性格を持つようになってしまった、
ともいわれる。
このように、新しい集団安全保障が
なかなか実現されないということは、
それに基づく国連活動や軍縮努力にも
困難な問題点があることと、
表裏の関係にある。
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