第16話
朝食を取り終えたあと、またホテルの部屋に戻った。その間も相良さんはスマホを操作している。僕はベッドの端に座って、その様子を眺めていた。歳は、29、30くらい? 身長高いな。180センチはあるよな。僕は160ちょっとしかないから、隣に並んだら凸凹コンビに見えるだろう。
僕が無言で見つめていたからだろうか。相良さんが少し煩わしそうにまだ整えていない前髪を手でかきあげる。うわ、かっこいい……。
「そんなに見つめられると、照れるな」
「す、すみませんっ」
ふ、と笑う彼。僕はなんとなく自分のスマホを手に取った。何をする訳でもないけど、先週見た映画のことを思い出していた。僕の見るものは、ちょっと女子向けっていうか……DomとSubが、赤い糸で結ばれていて、苦難の先に幸せを見つける。そんな恋愛映画だった。Domが男性で、Subは女性だ。この世の中では、Domが男でなくてはいけないとか、Subは女でなくてはいけないという縛りはない。Domが女性で、Subが男性なんてカップルもいる。でも、たいていは男は女と付き合うものだ。男と男が付き合うこともなくはないけど……数としては少ない。実際、僕のまわりで男同士で付き合っている人はいない。もしかしたら、口に出してないだけかもしれないけど。僕はまだ、恋とか愛とかそういうものに疎くて。自分がどんな人が好きになるのか、よくわかっていない。でも、相良さんなら……そういう悩みを相談出来たらいいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます