第50話050「さらにややこしい展開に発展するのは異世界ものの世の常」

【告知】

誠に申し訳ありませんが、仕事が忙しくなってしまい

現在のペースでの投稿が難しくなってしまいました。

なので、次回からしばらくの間は


「自重知らずの異世界転生者」

「異世界ハズレモノ英雄譚」


どちらも「不定期投稿」となります。


大変恐縮ではございますが、何卒よろしくお願いします。


2022年6月6日(月)

mitsuzoエンターテインメンツ



********************



「「ふむ。だったら丁度いい」」

「え?」

「ジョルジオ・マッケラン⋯⋯お前も『救世主』に対しては否定的な立場だったよな?」

「誤解されるような言い方はやめてください、セイン様! 私はただ⋯⋯『救世主たちは私たちよりも本当に強いのか気になる』と言っただけです。別に否定しているわけではありません!」

「では、なぜ⋯⋯⋯⋯救世主が私たちよりも強くないとダメなんだ?」

「それは、もちろん!⋯⋯仕事も学業もせずに民の税金で生活し、しかも身分も『公爵と同等』といった『特別待遇』を受けているのであれば、最低でも私たちより強くないとダメだと思うからです!」

「ふむ。なるほど⋯⋯確かにジョルジオの言っていることは私も同意する(ニチャァ)」


 あ〜セインの奴、すっげ〜悪い顔したな、今。


 だって、これ絶対、ジョルジオの奴言わされてるじゃん。⋯⋯まあ、本人はそんな自覚はないみたいだけど。ていうか、ジョルジオはアレだな、本当に『真面目で誠実で素直な奴』なんだな。


 俺は、ジョルジオがセインにうまいこと利用されているのを見て、セインの良い方で言えば『立ち回りの巧さ』、悪い言い方で言えば『腹黒さ』を改めて見せつけられると共に、対照的にジョルジオの『人の良さ』を改めて知ることとなった。


 とはいえ、セインは『腹黒』とわかってもどうも憎めないのはなぜだろう?⋯⋯などと思っていると、パチリ!⋯⋯とセインがケイティ先生にアイコンタクトを送った。すると、


「⋯⋯では、ジョルジオ・マッケランよ。お前もセインたちと一緒に次の救世主たちとの『模擬戦』に出るか?」

「ええ?! わ、私が⋯⋯ですか!!」


 セインのケイティ先生への目配せはどうやらジョルジオの『模擬戦参加の打診』だったようだ。しかも、ジョルジオはそう言われて満更でもない様子。⋯⋯ていうか、かなり出たがっている素振りだ。


「し、しかし⋯⋯っ!? 私程度の腕で⋯⋯救世主様と模擬戦をやるだなんて⋯⋯」


 さっきの威勢は何処へやら、ジョルジオの口から「弱音」が出てきた。しかし、


「申し分ない。お前は伯爵家の生徒の中でも魔法も体術もトップクラスの腕前だ。私はお前の腕を見込んで参加の打診をしたのだ」

「ケ、ケイティ先生⋯⋯」

「⋯⋯私も、数ある伯爵家の生徒の中で意識している生徒・・・・・・・・はあなたくらいのものですよ、ジョルジオ・マッケラン?」

「っ!?⋯⋯セ、セイン⋯⋯様⋯⋯!!」


 あーーーー⋯⋯⋯⋯こりゃ、籠絡したな。


「わかりました! 恐れながら、このジョルジオ・マッケラン⋯⋯栄えある救世主様との『模擬戦』の選手の一人として参加させていただきます!」

「期待してますよ、ジョルジオ君」

「はい!」

「では、模擬戦前の『エキジビジョンマッチ』に出るあなたの子分でもあるエイジ・クサカベ君のこともよろしくお願いしますよ!」

「はい、かしこまりましたぁぁーーーっ!!!!」


 え⋯⋯?


「エイジ!」

「は、はい!?」

「私と一緒に『模擬戦』、頑張ろうなっ!!」

「⋯⋯⋯⋯はい」


 こうして『籠絡』どころか、いつのまにか模擬戦参加に『やる気』に満ちた我が主人あるじジョルジオ。その彼の言葉を否定するハートは俺には持ち合わせていなかった。


 こうして、俺の『模擬戦』でのエキジビジョンマッチ⋯⋯、


「エイジ・クサカベ! ケチョンケチョンにしてやるから覚悟なさいっ!!」


四大公爵T4』⋯⋯リーゼロッテ・ジオガルドとの対戦が決定した。


「ちなみに、あんたのことはお父様からいろいろ・・・・聞いているから⋯⋯」

「お父様?」


 え? 誰?


「まだわからないの? 私は⋯⋯⋯⋯エルクレーン王国宰相ブキャナン・ジオガルドの娘⋯⋯リーゼロッテ・ジオガルドよ」

「え? えええええええええ〜〜〜〜〜っ!!!!!!」



********************



——30分後


「だ、大丈夫か、エイジ?」

「あ、すみません。大丈夫です、ジョルジオ様⋯⋯」


 現在、俺はジョルジオと取り巻き4フォロワーズ・フォーと一緒にランチを終えた後、みんなでテーブルで寛いでいた。⋯⋯まー俺は一人、落ち込んで机に突っ伏していたけどな。


「それにしてもエイジが、あのブキャナン・ジオガルド宰相の娘を知らなかったなんてな⋯⋯私たちからしたらそっちのほうが驚きだ」


 ジョルジオの言葉に、俺以外のみんながうんうんと同意する。


「いやだって、この世界にきてまだ一ヶ月ちょっとですよ?! しかも、学園には昨日来たばっかだし!」


 と、言い訳をしてみたが、


「いや、でも、最初にリーゼロッテ様が名乗っただろ? そこで気づくだろ、フツー?」

「だってぇ〜〜気づかなかったんだよぉぉ〜〜〜!!」


 ジョルジオにド正論を直球で叩きつけられ、ただ嘆くエイジ。


「どうしようぉぉぉ〜〜〜〜⋯⋯」


 マズイ。これはヒジョーにマズイ。


 だって、学園ではひっそりと生活して、図書館でハクロと調べ物とかする程度に考えていたのに⋯⋯。


「まーでも別にいいじゃないか」

「え?」


 すると、なぜかそんなことを言うウチの主人あるじ様。


「だって、あくまで『手合わせ』程度だろ? それに『四大公爵T4』の彼らはああ見えて、全然『常識人』だからね。心配には及ばないよ、エイジ。リーゼロッテ様はちゃんと手加減してくれるから」


 ジョルジオがそう言って俺の肩を叩く。


「⋯⋯そう言えばさ」

「ん?」

「ジョルジオ様って伯爵なのに、どうしてセインたち『四大公爵T4』とのやり取りや態度がフランクだったんですか?」

「フランク?」

「あ、えーと⋯⋯身分差があるはずなのに、まるで友人に近い話し方だったのでつい⋯⋯」

「⋯⋯ああ、なるほど。よく、見ているな、エイジ。さすが元救世主」

「い、いえいえっ!? 救世主は関係ないですから!」


 と、笑いながらエイジの肩にグッと力を入れるジョルジオ。そして、


「ま、結論から言うと俺は⋯⋯⋯⋯元公爵家だからさ」

「⋯⋯え?」

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