1週間で300回イく彼女と旅のしおり
優麗
九州6泊7日編
旅行1日目 再会は夕暮れと共に
『やっぱり、たまにはこういう非日常も大事だよね。 僕のワクワク感が違う。』
コロナが大流行中の昨今、気軽に旅行さえ行けない情勢であるから尚更そう思うのかもしれない。いつだって、いや、こんな時だからこそ現実逃避は必要なのだ。
『ほんとうにそう! 私も今日空港来て思ったー。』
頷きを返してくれたのは僕以上に旅行や夜遊びが大好きな彼女(みーこ)。SNSでのやり取りだと言うのに、喜びから笑顔を浮かべているみーこの姿が容易に思い浮かぶ。
まぁでも笑顔を浮かべているのは勿論彼女だけではない。
なにせ、みーこと再会するのは前回の旅行以来なので約5ヶ月ぶりなのだ。僕のワクワクには当然ながら旅行に対するものだけじゃなく、彼女に会える喜びも含まれていた。
『このワクワク感、これがみーこいじめ
『それは大きな間違い!!』
『人は間違いを繰り返して進歩するものだ。つまりこの間違いは必要。』
『何その名言みたいなの(笑)』
『名言というか、僕のみーこいじめの正当性を証明?』
『正当性はノー!』
正当性が認められなくてもベッドの中ではいじめ倒すけどね、とは言わないでおく。無駄に警戒させる必要は無い。油断してくれるなら大いに結構だ。
『福岡空港着いたよー。』
『みーこちゃんはまだ空の上ー。』
みーことは住んでいる場所が離れているので、合流はいつも旅行先の空港になる。僕よりも移動距離のある彼女はまだ飛行機内のようだが……今の発言はちょっと聞き捨てならないな。
『は? みーこちゃんは僕の手のひらの上なんだが????』
『おこです!!!』
間違いを正しただけなのに……おかしいな?
◇◇◇
最初に旅行を計画していた段階ではお互いに13時福岡空港着の予定だったのだけれど、みーこの交通アクセスの都合で計画は変更となり、実際に彼女と合流できたのは17時過ぎ。
遅い時間からの再会になってしまったが、旅行期間は6泊7日もあるのだからこれぐらいは誤差みたいなものだろう。計画通りに進まないのもまた旅行の醍醐味って言うしね。
……そもそも計画段階では九州ではなく沖縄旅行だったわけだし。
(旅行数日前から沖縄でコロナ感染者急増した為、急遽行き先を変更したのだ。)
「みーこちゃん、久しぶりだねぇ。」
「ね! 久しぶり!」
大きなキャリーケースを引くみーこの姿は遠目からでもすぐに分かった。
僕の住む場所より寒い地方から来ているため上には厚手のコートを着込み、脚元を飾るは
さすがに人の多い空港内で人目を引く行動はできないけれど、2人きりになった際には心ゆくまで撫で回そう。
「ねぇ、なんでお腹触ろうとするのっ!?」
「なんでって、そりゃぁ……。」
人前ではさすがに脚を撫でられないから、その代わりだよ。あと、どうやら『体重が増えた』と聞いていたから、どれぐらい増えたのかの確認も兼ねて、である。言ったら絶対に触らせてくれないので言わないけども。
コートの上からでも分かる柔らかな弾力性は破裂の心配がない水風船のようだ。惜しむらくはこれが胸部を触った感想ではない事だろう。
お腹を触られたくない彼女は僕から逃げるように小走りで移動するのだけれど、如何せん肉体的なスペックが低いので難なく
なるほど、これが狩猟の本能か。野生に目覚めてしまいそうだ。
久しぶりのボディコミュニケーションを挟みながらも、僕と彼女は足早に空港を後にする。今回の旅行ではコロナ対策として極力人混みを避けるようにしていたのだ。
「それで、僕たちはこれからどこに行くの?」
「今日は時間も時間だから、このまま真っ直ぐ博多のホテルかなぁ。 荷物預けたらご飯食べに行こ?」
「はーい。」
この話し振りからも分かるように、僕と彼女の旅行では旅行慣れしているみーこが全体の旅行プランを計画している。
勿論、聞かれれば僕も一緒に考えはするけども、今のところ彼女に任せて失敗がないので恐らくは今後も彼女頼りになるだろう。
『それにしても、みーこと並んで歩くのは居心地がいいなぁ』なんて考えながら、静かな博多の街並みを2人歩く。この日は日曜日だったのだけれど、思ったよりも人が居なかったのだ。
まるで博多を2人で独占しているみたいで(勿論、多少人はいるけども)、気分はとても良い。恐らくはこの何気ない瞬間のことを『幸せ』と呼ぶのだろう。
(でも、この旅行の目標を忘れないようにしないとね。)
実は今回の旅行では彼女に内緒で、ある目標を立てていた。それと言うのが『旅行中に彼女を100回イかせてみよう』なのである。
回数だけを聞くと『100回はさすがに無理じゃないか?』と思うかもしれないけれど、今回の旅行は6泊7日なので単純計算で1日20回イかせれば良く、また、彼女はとてもイキやすい。そう考えればまだ可能性はありそうに思えるだろう。
ただ、それでも容易に考えてはいけない。
彼女が花盛りの20代でも僕は性欲がやや下降気味の30代。彼女が何度イッても元気だろうと、僕は一度イッてしまえば直ぐに元気とはいかないのだ。つまりこれから始まるのは1対20の戦い。圧倒的不利な戦場である。
それならば、どうするか?
決まっている。数の差は奇策で補えば良い。
僕のこの考えがまさかあのような結末を招くことになるなんて……このときの僕は予想だにしていなかった。
まぁ、タイトルで少しネタバレしているわけだけれども。
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