*第3話 精霊と少女の旅立ち
ハニー様の言うには聖女を産む為に、父親となる者にも条件が有るらしい。
特別な血筋を受け継いでいる必要があるそうだ。
その血統は海を越えた大陸の北に在る大山脈の麓で今も守られていると言う。
「ダモン・・・ですか?」
「そう、ダモンの血統だよ~」
「聖女様の血統なんですか?」
「う~~~ん、ちょっと違うね~」
違うのか?
「どう違うのですか?」
「サーシアを復活させる為には相性の良い器が必要なんだよ~
イリュパーはチャーフの血を引いているから
相手がダモンの血筋なら再現性が高いんだよ~」
何を言っているのか?
さっぱり分からない・・・
私が何の血を引いているって?
「チャ?チャーフ?」
「そう、チャーフ公爵家」
「コーシャクケ?」
「あぁ~そうか~国家も貴族も無いからね~
ピンとこないかな~」
「部族ですか?」
「うん、そんなものだよ~もっと規模が大きいやつね~」
なんでも古代遺跡を作ったのも、
そのコッカとやらが為したそうだ。
そんなすごい大部族がゴロゴロいたらしい。
おとぎ話に出て来る精霊の民を従えていたのだとか。
その大部族が信仰して
ハニー様のような人の姿をした精霊と契約し、
強力な魔法を操る事が出来るのが聖女様。
そして聖女様の中でも別格で、大聖女と呼ばれたのがエルサーシア様。
エルサーシア様はチャーフ族の娘とダモン族の男との間に生まれたそうだ。
私はチャーフ族の血を受け継ぎ、エルサーシア様を復活させる器を産める、
唯一の娘なのだそうだ。
荷が重い~~~
しかも双子~~~
ルルナ様も今度は人間として、この世界に戻って来るのだとか・・・
二人はとても強い絆で結ばれているので引き離す事は出来ないらしい。
呼び戻すなら二人同時に。
だから双子なんだと・・・
大聖女様と精霊王様を産む~~~?
私が~~~?
ダモンの男と~~~?
つまり~そのぉ~子作りを~
・・・・・・・
うわぁ~~~~~~~~
う~~~~~~わぁ~~~~~~
よくよく考えたら、どえらい事だよぉ!
子作り相手を探す旅に出るって事だよね?
「何しに来たの?」「子作りしに!」
いやいやいやいや~!
言えない言えない言えない~!
恥ずかしくて死ぬ~!
花も恥じらう12の乙女が子種を求めて旅するなんて聞いた事もないよぉ~
そもそも何で私が、わざわざ海を越えてまでそんな事をしないといけないんだ?
子供を産むのは良いよ。
いずれは産むのだから。
百歩譲ってダモンが相手でも構わない。
どうせ父様の選んだ男と
族長の娘なんてそんなものだ。
姉様もそうだった。
良いよ!
聖女でも精霊王でも産んでやろうじゃないか!
だから連れてこいよぉ!
此処にダモンの男とやらをさぁ~!
手土産のひとつでも持ってさぁ~!
娘さんを嫁に下さい!ってさぁ~!
自分で言うのもなんだけどさぁ~!
けっこう美人だよ?私。
近隣の部族から「是非!うちの嫁に!」って話も来てるんだからね!
あんまり安く見積もらないで欲しいもんだよ!
「あ、あのぉ~ハニー様ぁ。」
「ん?なぁに?」
「向こうから来て貰うわけにはいかないんですかねぇ?」
「どうせダモンで産まないと駄目なんだから二度手間になるよ~」
「あぁ~そ~ですか~・・・」
エルサーシア様もルルナ様もダモンで産まれたから今度もダモンで産めとさぁ~
出発は10日後。
父様は50人ほどの護衛を用意したけれど
ハニー様は邪魔になるから要らないと言った。
自分が居るから護衛は不要だと。
二人で行くのか~
大丈夫かな~?
***
旅立ちの朝。
集落全員に見送られてイリュパーとハニーがダモンを目指す。
挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16818093077213222314
子作りをしに・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます