第2話 設定崩壊

- side アラン-




「おお、魔物を狩るスピードは前より体感0.3秒くらい上がっている!これはいいぞ。」


「アラン!はあ。全くお前は、なんでいつもいつも我々を置いて…。我々では足手まといなんだろうけど。」


 攻略キャラAことウィリアムがいう。



「お前らの光属性は俺には眩しいすぎだしな。」


「はあ?何を言っているんだお前は?光属性が使えるのは、聖職者くらいだぞ。俺らに使えるわけないだろう。」


「(完膚なきまでに真面目に返答されてしまった。そういうとこなんだよなあ。)

 はあ。……こっちの話だよ」


「なんだ、そのため息は。まあいい。この後王宮に戻って報告だからな。この辺りで魔物の大量発生が起こったとなれば大騒ぎだ。」


「ああ。わかってる。」



 この世界では、ヒロインが攻略キャラを引き連れて、魔王を倒すということが、ゲームのクリア条件である。

 なので、途中経験値を稼がせるため魔物が都合よく大量に現れる、ゲーム制作の都合上、仕方なく捻じ込みましたイベントがこんな感じで発生する。

 大体は攻略キャラの人数が2人以上いる時に起こる。



 今回の場合は、ヒロインやABCと共にみんなで、ラブ&ピース学園の試験を受けようと一緒に試験会場に向かっている途中に発生した。


 攻略キャラが4人も揃ったら、魔物の大量発生が来るだろうなとも思ったので予定通りだったのだが、想像以上に彼らが足手まといだったので、一人で戦っていた。


 だから、さっきの王子の推論は結構当たっていた。あいつらのキラキラオーラが凄すぎて近寄りがたいというのも嘘ではないが。



 ぶっちゃけ俺としては、一人で行きたかったのだが、ウィリアムがどうしても一緒に行って欲しいとしつこく言ってきたので一緒に行かざるを得なかった。


 なんせウィリアムはこの国の第一王子なのである。

 流石に、1、2回だったら、断ることもできたが5回も言ってきたので、無理だった。


 ちなみに、お茶会のお断り連絡を含めると今回の誘いで35回断られているはずだが、一向に心が折れない。強すぎる。

 36回目の正直ということで、頼んできたらしい。正直がすぎる。


 学院の試験を受けて学園に通うことは国王や重鎮の家臣たちとも話し合った上での決定事項ではあったので、結局俺は仕方なくオーケーしてしまったのである。


 もしかしたら、鈍感ヒロインと渡り合うためにはあれくらいの強者ではないと、渡り合うことが出来ないのかもしれない。





  ♢ ♢ ♢ ♢ ♢





 そんなことを考えながらも、俺は経験値を順調に稼いでいた。

 魔物の大量発生イベントは効率がいい。

 わざわざこっちから魔物の巣に向かわなくてもいいのだから、これほどの神イベントはないだろう。



 そんな時、経験値を沢山稼げてほくほく顔の俺とは別の場所で戦っていた、ヒロインがまたホワイトタイガーに襲われた。



 ……?

 なんでヒロインは避けないんだろう。

 けどまあ、ホワイトタイガーはBランクの魔物だから大して強くないし、あいつらでも大丈夫だろう。

 むしろ強さの割に経験値が沢山もらえて羨ましいなー。そう思っていたが、


「きゃあっ」


 ヒロインがホワイトタイガーに囚われた。


「ヒロインちゃん(仮)!」


 攻略キャラBが焦った声で叫ぶ。



「いやーーー。グ…。」


 ヒロインがホワイトタイガーに食われてしまった。なぜか分からないが謎のモザイクがかかっているため、そこまでグロくうつっていない。

 対象年齢12歳だからな。

 血とかは一切流れないらしい。



 え、そんな話はどうでもいいけど、ヒロイン死んだんだが。バッドエンドか?



 「う…、嘘だ。」


 ウィリアムが言った。


 ここにいる俺以外の攻略キャラはみんなは都合よくヒロインに惚れていたからな。



 それはそうとこの後どうなんだろう。





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