第58話 2人で





あぁ…またこの夢を見ていた。

頭が痛い。なんでだろう。記憶が……

いつの間に僕は布団で寝ていたのだろう…

あれ…まゆは?

そっか、みほちゃん来てるからみほちゃんと寝てるのかな……

まゆに会いたい。この夢を見るとそう思ってしまう。


あぁ…またこの夢を見ていた。

りゅうちゃんと出会った日の夢を…まゆの一番大切な日の夢を……

りゅうちゃんに会いたい。

そう思ってまゆは隣で眠る妹に小声でごめんね。と言ってから布団から出て、りゅうちゃんが寝ている寝室に向かう。


まゆに会いたい。

そう思った時、寝室のドアが開いた。

そして僕の方に1つの足音が近づいてくる。

嬉しい。でも、なんか頭痛くて動けない……


暗くてよく見えないけど、きっと寝ているりゅうちゃんに近づいて行く。

まゆが近づいても反応がないからたぶん寝ているのだろう。

起こさないようにそっと、りゅうちゃんが寝ている布団に入る。

そしてりゅうちゃんを起こさないように気をつけながらそっとりゅうちゃんを抱きしめる。


「もう…起きてるなら言ってよ……」


まゆが抱きしめるとりゅうちゃんもまゆを抱きしめてくれた。なんか恥ずかしいじゃん。りゅうちゃん寝てると思ってたのにさ……


「ご、ごめん……えっと…な、なんか……頭痛くて……」

「りゅうちゃん酔って寝ちゃったからね…りゅうちゃんお酒弱すぎ」

「まゆには言われたくないなぁ」


うぅ…先日酔っ払ってりゅうちゃんに迷惑かけたからいい返せないよぅ。


「今さ、まゆと初めて会った日の夢見てた…」

「え……」


運命のようなものを感じた。同じタイミングで同じ夢を見ていたなんて……なんかすごく嬉しい。


「まゆもね。今、りゅうちゃんと初めて会った日の夢を見てたよ」

「え……」


りゅうちゃんも驚いた様子だった。でも、嬉しい。って感じてくれたのかまゆを抱きしめる手に少しだけ優しく力が入る。


「りゅうちゃんと初めて会った日の夢を見てさ、りゅうちゃんの側にいたくなってみほには悪いけどこっち来ちゃった」

「ぼ、僕も…まゆと初めて会った日の夢を見てまゆに会いたい。って思ってた。だから、まゆが隣に来てくれてすごく嬉しかった」


同じタイミングで同じ夢を見て、同じことを考えていたみたいだ。なんかすごく幸せだな。


「りゅうちゃん、大好き」

「僕もまゆのこと大好きだよ」


りゅうちゃんならわかってくれるよね。今、まゆが何を求めているのか…


そんなまゆの想いに応えてくれるようにりゅうちゃんはまゆの唇にそっと自分の唇を重ねてくれた。


「「好き」」


お互いにそう言ってすごく幸せだった。





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