第19話 ホウモン
「うー、緊張する……」
まゆと暮らし始めてから5日目、まゆとの生活も落ち着いてきて土曜日ということもあり、まゆのご実家で夜ご飯をいただくことになった。まゆのご両親にはまゆと暮らすことを許してもらう時に挨拶させてもらったけど…それでも彼女のご両親に会うのは緊張する。
「大丈夫だよ。ママもパパもりゅうちゃんのこと気に入ってるからさ。それに、しょ、将来的に…りゅうちゃんの義理の親になるんだから……」
最後の方はめちゃくちゃ小声で顔を真っ赤にしながらまゆが言う。嬉しいなぁ。まゆとの将来…まゆがいいと言ってくれるなら…是非、ずっと一緒にいたい。
「そ、そうだ…お、お土産持ってかないと失礼だよね。ごめん、どこかお土産買えそうな場所寄ってもらっていい?」
まゆのご実家まで車で30分くらい今、アパートを出たばかりなのでどこか探せばあるはず。
「うーん。今日は夜ご飯食べに来るわけだし…お土産は食後のデザートとかがいいんじゃない?」
「デザートはまゆが食べたいだけじゃ…」
「そ、そんなことないもん!」
そんなことありそうだなぁ。わかりやすい。とはいえ、まゆの提案はいいと思ったのでまゆのご実家までの道の途中にあるデザートが売っているお店を慌てて調べてまゆに寄ってもらった。
お土産のデザートを買って、まゆのご実家に向かう。緊張してる僕を見ながらまゆは笑っているが、まゆも僕の実家に来た時こんな感じだったじゃん……
気を紛らわす為にまゆと適当な話をするが全然緊張はおさまらない。気づいたらまゆがバックで車を停めていて、まゆのご実家の駐車場に到着していた。車から降りると足がガクガク震えていた。
笑いながらまゆが僕の隣に来てそっと手を繋いでくれる。
「りゅうちゃん緊張しすぎだよ。リラックスして。大丈夫だから」
「う、うん」
まゆにそう言われて深呼吸を何回か行う。駐車場からまゆのご実家まで3分ほど歩くわけだが、まゆは僕が落ち着く時間を作ってくれたのかすごくゆっくり歩いてくれた。僕の気を紛らわすために道端に生えていたたんぽぽの綿毛を飛ばし始めたりしていた。かわいい。
そんなかわいいまゆと一緒にゆっくりと道を歩く。まゆのご実家は少しだけ田舎っぽいところにあるので、駐車場からご実家までの道は自然がいっぱいあった。
まゆが育った場所、まゆが何度も見ていた光景をまゆの隣で見ているとなんとなく緊張が解けていく気がした。そしていよいよまゆのご実家に到着して、まゆがインターホンを鳴らす。
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