第17話 アルフレイの末路
「そ、そうだ!僕はこいつと今すぐに離婚する。だから借金はこいつだけのものだ。僕は関係ない、今すぐに返してくれ!」
「なんですって!私を見捨てるっていうの!そんなこと絶対に許さない、あなたも道連れよ。」
「うるさい、お前に関わったことが間違いだ!すぐに離婚してやる。」
一見、彼が無事にここを抜けれそうな案を提示しているが、彼の悲しいところは法律を理解していないことだ。だからこそ、ボスはそんな彼に現実を教えてあげる。
「あぁ、それでもいいぞ。だが、お前たちは夫婦なんだから資産は半分だ。つまり二人で借金全額か、一人、一人が今の借金を半分ずつ支払うかのどちらかだからあまり変わらないぞ。」
そう、既にタニラと夫婦となってしまった時点でアルフレイは詰んでいたのだ。離婚をしたところで夫婦の資産は両者に平等に分配される。本来であればお互いが離婚後も生活に困らないように財産を分配するためにあるが今回は彼にとってデメリットしかなかったのだ。
「そ、そんな!嘘だろ、いやだ!僕はこんなところで死んでいい人間じゃないんだ!わーっ!」
最後の逃げるすべを失ってしまったアルフレイは暴れ出してしまう。そんな彼をゴミでも見るかのようにボスは見下ろしている。
「さて、もういいだろ。お前の働き先が決まったぞ、お前はこれから漁師として生きていくんだ。借金が完済されるまでは逃げ出すことは許さない。」
そんなボスの発言を聞き、アルフレイはほっとしている。あそこまで脅されていたのでてっきり、どこぞの実験施設にでも送られるものだと思っていたのだ。しかし、そんな彼の心理を理解しているボスは彼に向かって現実を突きつける。
「お前、まさか楽な仕事だと思っていないよな?そんなはずがないだろ、そんなまともな方法で返せる金額じゃないんだよ。お前が乗る船は一回出向したら半年は陸に戻ってこないぞ。
そして、年に二回は出向する船だ。そのうえ、病気になっても我慢して耐え抜かないといけない。もしも耐えられなかったら死ぬだけだ。その後は海に捨てられるだろうな。
お前にはその生活を最低十年はやってもらわないと借金は返せないぞ。むろん、借金の状態によってはさらに伸びるかもな。まぁ、せいぜい死なないように気を付けてくれ、お前が死んだら困るのは俺たちだから。」
「お、おい、まてよ!一度出航したら半年は戻ってこないで年に二回は出航って、いつ休めるんだよ!」
「そんなものあるはずないだろ、お前は十年間一度も休みなしだ!あぁ、それと、シーラと話は付けてあるからな。お前たちがこの三か月間、あの屋敷で飲んだり、食ったりした金は全部俺が支払ってやる。
あいつには本来回収できなくなる金をこうして回収させてもらった礼があるからな、俺が立て替えといてやったよ。でも、安心しろ、別に俺は立て替えてやっただけだからな。きっちりお前たちから回収してやる。まぁ、少し船に乗っている期間が伸びるだけだ。安心しろ。」
その言葉を最後に、アルフレイは沈黙してしまうのであった。
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