第6話 予想外の擁護

ビートルがドアを開け、兵士たちにこういう。


「彼らです!この二人組が3か月もの間この屋敷に押し入って暮らしていたのです!どうかこいつらを連れて行ってください。」


その言葉を境に、部屋には兵士たちが押し入り、二人を包囲する。二人とも、ようやくここでおかしなことに気が付いたのだ。


「おい、お前たち何をしているんだ!追い出すのはそこの女だぞ、僕たちではない!」


「そうよ、私はこの屋敷に住んでいる伯爵よ!お前たちのような兵士風情が刃を向けていい相手ではないわ!」


突入してきた兵士たちもそのようなことを言われるとは思っておらず、困惑しているようだった。兵士たちを率いているリーダーがビートルにそのことを尋ねる。


「おい、いったいどうなっているんだ!捕らえるのはこの二人ではないのか?」


「いえ、その二人で合っています!」


しかし、二人は貴族なのだ。リーダーからすれば使用人と貴族、どちらを信じるかと言われれば一つしかないだろう。


「悪いが相手は貴族様なんだぞ!お前の証言だけでとらえることはできない。」


「ならば、この屋敷の名義などを全て調べてください!そうすれば私の言っていることが正しいことが分かります。」


ビートルは必死にリーダーに訴えているが彼は信用していないようだった。そんな中、意外なところから援護がもたらされることになる。


「あははっ、ビートル、あなた気でも狂ったのかしら。主人である私に逆らうなんてよほどクビになりたいようね。いえ、あなたは貴族である私を陥れようとしたのだからそんなものでは生ぬるいわ!


ここにいる兵士たちに連行してもらいましょうか!もちろん、そこにいる女も一緒にね!まぁ、私はこんな気が触れた平民たちとは違って誇り高い貴族なのですから証拠を大切にしますわ。


お前たち、こいつらが嘘を言っている証拠が欲しいのでしょ?今すぐにこの屋敷の名義を調べなさい、役所が順番を渋るようでしたら伯爵としての名前を使う許可を与えます。そうすればこいつらが私をはめようとした証拠も用意できて完璧でしょ?


シーラ、楽しみよね?あなた達がこれから一体どんな目に合うのか?私はアルフレイ様と一緒に幸せに生きるからもう邪魔しないでね。」


シーラもまさかタニラから援護をもらえると思っていなかったため、困惑していた。なぜなら、それを調べるということは彼女たちの方が追い出されるべき人間と分かってしまうようなものだからだ。そこまでバカだとは思ってもいなかったシーラは表情には出さないが心の中では笑い転げているのだった。

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