本編MEMORY1-1 「◯◯◯の記憶 1」


物心ついた時から、人を殺すのが私の仕事だった。

ナイフを相手の喉元に突きつけ、一気に引き抜く。

ばしゃり、と血が飛び散る。

それを頭から被りながら、次の標的に向かってナイフを投げつける。

太腿のガーターから真新しいナイフを出して心臓を一突き。

だらん、と倒れてくる大人の下から飛び出す。

そしてまた次の標的へ。


まだ年端もいかない子供だったからか、相手は何も疑問に感じず私を自分の懐へと招き入れた。

見つかることも失敗することもなかった。

大きくなるにつれ、単調になっていく仕事にいつしか何も感じなくなっていた。

また一人、殺す。

いくら人を殺そうと、報酬をもらおうと私の気持ちは、私はなにも感じなかった。

いつしか、私は殺しという行為に感情をもたなくなっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る