第三話 日常から非日常へ

をつけ、さようなら」

「「さようなら」」


こうして今日きょう授業じゅぎょうすべわった

今日きょう授業じゅぎょう情景描写じょうけいびょうしゃ皆無かいむだということにはれないでしい


「よっ!蒼汰そうた一緒いっしょかえろうぜ〜」

蒼汰そうたじゃない、蒼真そうまだ」


最早もはや毎回まいかい恒例こうれいである


鈴木すずきはこれをながしながらいつものように靴箱くつばこかう


なにわずとも堀辺ほりべいてくることはいつものこと

はじめのころはオドオドしていたが

最近さいきんでは表情ひょうじょうひとえないようになった


「いやー、はじめてったころからもう半年はんとしかぁ〜」

なんきゅうに…」

「いや、なつかしいなぁおもって

ほら、ワイ明日あしたからすやろ?」

「…?」


初耳はつみみである


はじめていたぞ

そういうのはもっとまえもってえ」

「あれ?ってへんかったか?」

ってない」


堀辺ほりべ苦笑にがわらいをして「ごめんごめん」とった


すくなくとも卒業そつぎょうまでつづくとおもっていたこの日常にちじょう

今日きょうわりなのか…

明日あしたからまた

あのひとりぼっちの味気あじけない日々ひびが…


ーおい、なにってやがるー


一瞬いっしゅん

いやこえあたまなかにフラッシュバックする


かる目眩めまい


ついあたまかかえてそのすわんでしまう


「お、おい…大丈夫だいじょうぶか…?」

「…大丈夫だいじょうぶ

あきらかに大丈夫だいじょうぶとちゃうやろ…とりあえず保健室ほけんしつまでれてくで」

「うん…ごめん…」

「おやす御用ごよう


ここで一度いちど

おれ記憶きおく途切とぎれる



わたしは…」


先生せんせい保健室ほけんしつったあと

土切つちきり自分じぶんむねて、おもいにふけっていた


嘘吐うそつきはきらいだし、害悪がいあく


うそくとあたまいたくなる


なにもかも、あの怪物かいぶつのせいだ

すべてはあの怪物かいぶつからはじまった


怪物かいぶつさえいなければ

わたしはこんなことかったし

かあさんだって…


そこで思考しこう一時中断いちじちゅうだんされる


いきおとびらひら


先生せんせいっ!!」


堀辺ほりべ鈴木すずき背負せおって保健室ほけんしつはいるが

あたりを見回みまわ先生せんせいがいないことを確認かくにんすると

落胆らくたんする


一足ひとあしおそかったかぁ…

なぁ、美咲みさき…」

はなけないで

目障めざわり…」


土切つちきりはピシャリとはなつが

鈴木すずき視界しかいはいった途端とたん目付めつきがわる


奴隷どれい…」

「ど、奴隷どれい…?

あんためちゃ物騒ぶっそうこといよるな…」


今日きょうちょうどわたしものになった…

何故なぜうしなっているのだろうか

まぁどうせくだらない理由りゆうだろう


土切つちきりあたまなか結論付けつろんづけるとそのことかんしては興味きょうみくしてしまった


「でかしたわ

その奴隷どれいをここにてていきなさい」

蒼真そうまが…奴隷どれい…ぷっ…」


そこまでって堀辺ほりべおもわずしてしまう


奴隷どれい…アッハッハ!」

なにかおかしいかしら?」

「だって…可哀想かわいそう…ハッハッハ!」

「それはこれがつみおかしたからよ」

「どんな?」

わすれたわ」

「アッハッハ!」


堀辺ほりべはツボにはいったのかひとしきりわらばしてから「つまらん…」と一言ひとこと

あらしのようにっていった


「なんだったのかしら…」


土切つちきりちいさく溜息ためいきくと

鈴木すずきのポケットから携帯電話けいたいでんわのぞいているのをつける


電源でんわれるとあんじょうロックがかかっていたが

クラスと出席番号しゅっせきばんごう入力にゅうりょくするとロックはひらいてしまう


ザルじゃない…


電話帳でんわちょうひらくとかあさんの文字もじ


「これは…」

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