俺の青春時代が超ブラコンの妹で染められそうなんだが
たばし
1章 青春ピースに余分がある
第1話
俺「
──妹が兄に
興味ない、ただの家族、好き、嫌い、暇つぶし型コンテンツ、エトセトラエトセトラ……色々ある。
中でも「好き」に至っては「兄として好き」であり「異性として好き」ではないもの……とされている。
──俺が妹に抱いている感情とはどんなものか?
一言で表すなら……「怖い」だ。
いつからか、妹に恐怖の感情を抱いていた。弱みを握られた訳でも無く、圧倒的な暴力を振るわれた訳でも無い……必然的に植え付けられたのだ。
──俺は一旦、
「ねえねえお兄ちゃん、早くこの
「…………」
自宅、一階リビングにて。
俺は学校から帰ってきてすぐにソファに座りながらテレビゲームをしていたのだが、妹がテレビの前に立ち、婚姻届で俺の視界を妨害してくる。
もちろん、右側には既に名前やら住所やらが書かれていた。
すると、テレビから『ゲームオーバー』と聞こえてくる。どうやらまた負けたらしい。
「……
「書いてくれるまで退きませーん!」
肩まで伸ばした
そして何より誰もが二度見、もしくは見惚れてしまうほどの整った顔は、本当に俺の妹──
「じゃあ俺は、自分の部屋に行くとするか」
ソファの端に置いてあったリモコンでテレビの電源を消す。
そして立ち上がり、リビングから出ていこうとすると、楓が左腕に抱き着いてきた。
「待ってお兄ちゃん! 行かないでよ!」
「誰のせいで行くことになったと思ってんだよ!」
俺はそのまま引きずっていこうとするが、楓が思いのほか力が強く、その場から動くことが出来ない。
いや、待て……何でこんなに力が強いんだよ! それとも俺が弱すぎるのか?!
「行くならせめて婚姻届を書いてから行って!」
「誰が妹と結婚なんてするんだよ! まずできねえし、常識を知らないのか?!」
「一緒に常識を覆して暮らそうよ! お兄ちゃんになら、全てを捧げられるから!」
「結婚相手ぐらい自分で決めるっての!」
激しい攻防戦が続く中、一瞬だけ楓の力が弱まったのを感じ、俺は咄嗟に片腕を上げる。
「あっ──!」
すると、いとも簡単に俺の左腕が楓から解放され、自由を取り戻す。
おかえり、俺の左腕……そしてこの勝負……貰った!
「残念だったな、楓よ。シーユー」
俺は高らかに哄笑した後、すぐにドアノブに手を掛け、リビングから走り去るように出ていく。
目的地はもちろん、2階にある俺の部屋だ。そこは家の中で一番安全と言っても過言ではない領域とされている。
「──絶対に諦めないんだからあぁぁぁ!」
階段を駆け登る俺の後方から、楓の叫び声が響いた。
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