6点目  「25日の金曜日」         【3/25(金)】

 本当は別のお話を考えていたのですが、ちょうど書いてる日にちなんだ話題がありましたので、今日はそのお話をさせて頂くことにしましょう。

 店舗の立地などにもよるでしょうが、コンビニには絶対にお客様が多くのなる日というものがございます。一番顕著なのは、月曜日と金曜日の夕方から夜。土日の午前中。日付でいうと、10日や25日といった末尾が0や5の日。いわゆる「五十ごとう日」というものですね。

 五十日に金融機関が混むことはよく知られたことかと思いますが、コンビニもその例外ではございません。コンビニは公共料金などの払いこみに対応しておりますので、毎月この日はお金がよく動く日です。25日から月末にかけての数日間は、連日払いこみに追われることになるのです。あとは国民年金関係で、偶数月の15日も払いこみがぐんと増えますね。

 ここでお話を冒頭に戻しましょう。

 今日は令和4年の3月25日。そう、五十日です。

 加えて今日は金曜日。しかも、月末の。

 はい、戦場のような忙しさの到来です(笑)

 我々にとっては13日の金曜日なんかよりよっぽど恐ろしい日です。

 とどめを刺すように、元々金曜日は週末分の荷物がまとめて入ってくる場合が多いので、バックヤードの作業も多い日なのです。

 千客万来商売繁盛。

 本来なら嬉しい悲鳴と申し上げるべきなのでしょうが、正直店員からしますと、ただ仕事が増えるだけでしかないというのが本音です。お給金も変わりませんしね。

 もちろん、それで手を抜くなどということはありませんが。

 慣れてこないと全ての仕事を時間通りにこなすのが厳しいので、ここには新人さんを入れないというのが暗黙の了解になっていたりします。

 したがって、こういう日は私とサキちゃんのように、もうお互いの動きを熟知しているような人間同士でシフトが組まれることが多いのです。

 今日みたいな日にお仕事に入るともう大忙し。相手がいくらサキちゃんであろうとも、お互い構っている余裕もありません。もうお互いに仕事の分担がある程度決まっていますので、一々確認することもなく各々でお仕事を進めていきます。

 夜の8時にお仕事を始めたとして、お客様の波が少し落ち着くのがだいたい11時前。翌日がお休みという方が多いので、それ以降もお客様が途切れることはありません。入荷した商品の開封作業や、新商品の売り場作りなど、レジ以外にもやることが山積みです。

 お給料日のところが多いからでしょうか、こういう日はお客様一人辺りの単価がいつもより高くなる傾向にあります。とりわけお酒の売り上げが伸びますね。それに付随して、レジ横の揚げ物もよく売れます。

 単価が高くなるということは、それだけお客様がお買い上げになる品数が増えるということ。それに合わせて、当然レジにかかる時間も伸びていきますし、ここに揚げ物などが加わると、更に時間が伸びていくことに。

 極めつけは、それらのお会計と一緒に払いこみを承る時。払いこみ用紙一枚とかならばそうお待たせすることもないのですが、これが五枚とか六枚とかになってくると、こちらも大汗をかきつつ対応することになります。この日はレジでこのやり取りが延々と繰り返されていくのです。

 あと地味に盲点なのが、一万円札でのお支払がめちゃくちゃ増えること。レジが自動になっていくらか改善されましたが、一万円がレジに溜まる一方なので、こちらの対処に追われることになります。

 今でもたまにお客様の前でお札を数える機会がありますが、手に馴染まないピン札の一万円を数える時などは、やはり緊張するものです。

 慣れというのは恐ろしいものでして、お会計のたびに大量の払いこみ用紙や、ピン札の一万円を見るようになると、月末を感じる今日この頃でございます。

 月末の風物詩?みたいなものでしょうか。

 風流とは程遠い景色ですが…。

 早いもので、もう3月もあとわずかですね。

 それではまた、次のご来店をお待ちしております。

 

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