第12話 大スターの娘なめんな!

冬華とうかさん! 大丈夫ですか⁉」

「…? あぁ春花はるかちゃん…」

「姉ちゃん今警察と救急車呼ぶから!」

「ダメッ!」

「は?」

「他の人に迷惑はかけられない! これは私と家族の問題!」

「でも俺も家族だ!」

「良いからダメ!」

「いい加減にしてください!」

「「春花ちゃん…?」」

「家族の問題…? 今日会ったばっかりだけど少しぐらい頼って下さいよ!

迷惑はかけられない? 綺麗ごとばっかり言ってないで少しは頼れ!」


…やべっ。勢いで言っちゃった…


「でも…春花ちゃんには関係ないわ…」

「だったら勝手に割り込ませていただきます。秋斗あきと君行くよ!」

「へ⁉」


ガチャッ


「春花ちゃん⁉ 何しに行くの⁉」

「私の演技力舐めないでよね…」

「は⁉」


ガチャッ!


「秋斗! どこ行ってた! 冬華は⁉」

「失礼します…先ほどのことに少し口出しさせていただきます…」

「何やってるんだ君は…秋斗その子を今すぐ帰らせろ!」

「うるさいわね…冬華さんが何やったんですか⁉ 冬華さんはあんたたちの操り人形じゃねぇんだよ!」

「いい加減にしないか! よその家のことに口出しするな‼」

「別に手を出してもいいですがどうなっても知りませんよ? 当たり前ですが警察沙汰にもなりますしこの会話も外に筒抜けでしょうね。それに私は高橋晴美夫婦の娘です。ちょっとしたニュースだけじゃ済みませんねぇ?」

「警察? そんなもんどうとでもなる」

「世界中の人全員を一人一人殺しにかかるのはさすがに無理でしょうね。

私みたいなか弱い女子高校生で大俳優の子供となればどうかは知りませんがね。

それに私も演技の稽古ぐらいやってるんですよ…」

「まさか…」

「えぇあんたらの家系がどんなものなのかも全て知ってますよ」

「そんなことをしたら秋斗も冬華もどうなるかわからんぞ! 

はっどうせただの子供だそんなことも考えずに突っ込んできたのか!」



「…」


ガシャーン!


「春花ちゃん⁉ ガラスなんか殴ったら…」

「あーあ手から血が出ちゃった…私が自分でやった証拠ないなぁ」

「おい! お前…!」

「こんな怪我冬華さんの苦労に比べたらなんでもないわ!

それよりどうするの? 降参する? それとも私が被害者側になる?」

「もういいわ…」

「母さん⁉」


秋斗君のお母さん⁉ まさかもっと手ごわいとかないよね…


「貴方…もういいわよ。私達の完敗だわ…」

「おい! でもこの話は筒抜けだと!」

「貴方テンパり過ぎよ…この家が完全防音だと忘れてない?」

「ッ!」


いや馬鹿かよ…


「春花ちゃん…やったよぉ!」

「泣かない! それより冬華さんはどうなるんです?」

「適当に言って親族にはごまかすわ…」

「ふっ初めからそうしたらいいのよ…大スターの娘なめんな!」

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