第9話 通信用魔道具(鉄)

 宿に戻る前に、一旦ルナたちの様子を見に行った。

 コンコン


「ウリアさん、ルナたちの様子見に来たんですが……。」


 フェンリルのルナ、アルラウネのリーフ、ドワーフのリンちゃんの3人はウリアさんたちに一般常識を教えてもらっている。


「ああ、入ってきてもええで。」

「お邪魔します。」


 3人は机に座って勉強していた。


「様子見に来たんだね。」

「ああ、あと渡すものがあってね。簡単に言えば。」


 青薔薇の3人は顔を見合わせ、「ああ。」という感じで手をポンと叩く。


「リーフにはまだ付けてなかったんだっけ。」

「そうなんだよ。それで、ピクシーたちの分も合わせて買ってきたんで、リーフに渡そうと思って。」


 そう言って、リーフの髪?に髪飾りを付ける。


「うん、かわいいよ。」


 そう言うと、リーフの顔がちょっと赤くなった。


「たらしね。」

「天然もんやろなぁ。」

「あんな風に言われたい。」

「仲間。」

「リーフもごしゅじんさまの番になる。」

「あと何人増えるか……。」


 おい、お前ら。




 宿に帰り部屋に籠り魔道具を考える。

 今必要なのは通信魔道具で、複数の魔道具と繋がるようにするのは、やっぱり番号を割り振ったらいいんじゃないかな。

 数字を出せるようにするには、どうすればいいのか。魔石自体を画面にできないか錬金魔法で試してみるか。

 まず、錬金魔法が魔石に効果があるか見てみる。うん効果あるみたいだ。さすがチート。

 加工して、タップで数字が変わるよう魔導回路を書いてみる。うん、できたな。さすがチート。

 ついで通信魔道具の本体の方を作る。と言っても回路図を書くだけだけど……。

 ノートに紋様を描く。唸れ紋章学45レベル!


 ん、待てよ。鉄道の場合、輸送指令と機関車の間の通信以外不要じゃね?

 

この時、俺の頭の中にある案が浮かび上がった。

 そもそも、列車同士の通信はほとんど必要ない。唯一の例外は防護無線か。

輸送指令に連絡するのも専用回線があればいい。輸送指令に通信するならATS、ATC、CTCも作れるんじゃないか?そうなれば、CTCに通信機器を集約でき、通信機器を使用するのに魔道具で判定すれば、軍に接収されない。

保安関係はこの方向で作成するのがいいかな。


 そのメモを残し、集約通信魔道具の設計図を書き上げ、寝ることにした。



 翌日、朝からアリア魔道具店に来ていた。


「というわけで、こういうのを書いてみたんですけど……。」


 ノートに書かれた設計図を見せる。


「こっちが親機でこっちが子機です。子機同士は通信できないですけど、親機には通信できます。また、親機の方にはどの子機から通信が来たか確認でき、また、1つの子機だけじゃなく一斉通信も可能になってます。それぞれの子機には使用制限がついており、俺の従魔――――ピクシーにしか使えないようになってます。どうですかこういうものは?」

「…………。」


 アリアさんは顎が外れんばかりに口を開けていた。


「アリアさん?」

「とんでもないものを作ったわね。こんなの軍に使われたら―――――。」

「使わせませんよ。この図面自体ピクシーたちが使えるサイズですし、そもそも使から。」


 うん、


「まーこれはパイロット版なんで、正式版を作ったら廃棄する予定ですけど。」

「正式版!?というか廃棄!!」


 お、アリアさんビックリしてる。ここまでしっかりとしたものなのにあっさり廃棄って言ったからな。


「ああ、不要というか、残すことに意味がないです。悪用を防ぐための廃棄ですね。」

「なるほど、確かに色々できますからね。」


 納得してくれたようだ。

 そうして、親機1つと子機4つを作り上げた。複数の魔導回路を繋げたので結構MPを消費した。……。

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