第3話 作戦会議2
収集がつかないので、俺は柏手を打ち、意識をこちらに向かせる。
「まあ俺の事はともかく、今回は派兵の事についての会議でしょ。さっさと進めましょう。」
「そ、そうであった。では、どこまで進めておったかな?」
国王が慌てて会議を進めようとする。
「俺が盗賊団の対処を終わらせているので、セルウォリスのギルマスと領主をどう捕らえるかです。あとは公爵の証拠固めですね。」
「お、おう、セルウォリスのギルマスは冒険者ギルドが、領主と公爵は王国軍が対処しよう。」
国王が提案する。王都ギルマスも軍務卿も異論はないみたい。
「盗賊団の捕縛にも人手をください。それが済めばこちらのピクシーを王国軍やギルマスに回せますよ。ミュー頼めるよね。」
ミューも胸を張って「任せて!」と答えた。
「わかった。ではどういう手順で進めるかじゃな。」
俺は手を挙げて―――――
「俺に提案があるんですがいいですか。」
と聞く。国王は他に提案があるものがないのを確認し、許可してくれた。
「まず、俺が単独でブロームの村まで先行します。そこで、ピクシーを数名、領主と公爵、それぞれの館とセルウォリスに向かわせて証拠の確認と確保をして王国軍に合流します。そして、領主と公爵とギルマスが油断しているタイミングで急襲するのはどうでしょう?」
「だがそう上手くいくのか?」
「せやね、情報をどれだけ正確に収集できるかにかかってるんだけど、それをピクシー達に隠れて調べてもらうことで、担保するわけだ。逆に、こちらの情報はできる限り隠したい。」
「では、こちらは軍事演習と言う体で出陣しましょう。」
軍務卿がそう返してくれた。
「では、兵力の方ですが……。」
財務卿が切り出した。部隊一つ動かすにも金がかかるからな。
「ブロームの方には10名ほどで問題ないでしょう。すでに降伏していると聞いていますので。」
「ギルドの方は高ランク冒険者に依頼として出すので、問題ないです。依頼料もギルドの不祥事だからこちらで用意する。」
軍務卿とギルマスがそう答えた。そこに陛下が
「いや、我が国の貴族が関わっておったのだ、国からも依頼料を出そう。5割でどうだ?」
「陛下、さすがに多すぎます。ただでさえヤマト殿への褒賞でかなり支出されてますので。」
すかさず財務卿が突っ込む。そりゃそうだ、すでに白金貨100枚以上の支出だ。日本円だとどれくらいだろう?10兆円くらい……。マジか!
「なら、3割でどうだ財務卿。」
「まあ、全く支払わないよりはいいですが……。」
「四分の一でいいです。もとよりこちらは国からの補助無しで考えておりましたから。」
うん、纏まりそうでよかった。と言うか、もうすでに俺いる意味ないな。
「それでだな、”青薔薇”の諸君、この依頼を受けてくれないか?」
三人は互いを見て、
「もちろん。最後まで関わらせてもらうよ。」
そうウリアさんが代表して答えた。
「よろしく頼む。あと、ヤマト殿だったな。あなたの冒険者ランクだが、ミスリル
「「「「「…………はぁあっ!?」」」」」
声を揃えて驚いたのは、俺がまだ――――というか、つい4日前に冒険者になったばかりだと知っているメンバーだ。何階級昇進だ?えーと水金地火木……じゃなくて、木、鉄、銅――――乗りたいな、鉄道。じゃなくて、銀、金――――――って、この次なんだっけ?オルガさんに聞いてみるか?
「(小声で)オルガさん、俺いくつ上がったの?」
「(小声で)あー、はい。
「(小声で)いいのか?それで。」
「(小声で)一応、ギルマスの統括されてる方が言ってるので問題ないかと。」
「(小声で)俺、まだ冒険者になったばかりなんだが……。ともかく、うなずいた方がいいかな?」
「(小声で)そうですね。その方がいいかと。」
「わかりました、お受けします。新しい冒険者証はいつ貰えますか?」
「……まあ、いきなりだったからいいけどよ。通常は試験の後に会議で書類審査を行うんだが、おめぇさんの場合ぶっちゃけ低ランクにいさせる理由はないし、実績も盗賊団を1つ壊滅に王女様を救ったなら最低でも金くらいにはなるだろう。だが、おめぇさんは召喚師でフェンリルすら召喚できちまう。しかも、野心はねぇ事を国が認めている。というか、王女様の求婚を断るなんざぁおめぇさん自身の理念で動いてるように見えるわけだ。なのに、悪徳領主と悪徳ギルマスを捕らえるのに最大限の協力をしてくれる。冒険者ギルドとしておめぇさんに借りを作っちまってる。だから、冒険者ギルドのギルドマスターとしておめぇさんに誠意を見せるためにミスリル
「は、はぁ。」
熱弁をふるう王都ギルマスに圧され、それしか言えなかった。
「あ、この件を解決したらアダマンタイト
「「「「「「「「はぁ~~~~~!!?」」」」」」」」
王都ギルマスのとんでもない発言に、その場にいる全員が声をあげた。
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