3 おばあちゃん

小学生の頃、公園で友人と遊んでいましたら、おばあちゃんがもう遅い時間だからご飯を食べていけ〜、というので、お邪魔した。


友人のおばあちゃんは料理がとてもお上手でいらして、煮物と卵焼きとお味噌汁を頂いたのですが、今でも覚えているほどのおいしさでした。


食べ終わってから友人が「そろそろ帰るね、おまえのおばあちゃんのごはんおいしかった!」というので、え、ここおまえんちじゃないの?と聞いたところ、いやおまえの家だと思っていたよ…とのことでした。


とりあえず帰ろう、挨拶しないと、とおもい、襖を開けたところ、肌着で仏壇に向かって御詠歌をぼんやり唄っているおばあちゃんがいました。


ごちそうさまでした!と告げて逃げるように家から出ました。


あのおばあちゃんはどんな気持ちで食事を振る舞ったんだろう、と今になって思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る