第四章 文化祭

12.準備

 


 殺伐とした空気が教室内に流れる。

 ため息をつきたくなるが仕方ない。黒板に向き直り、文字を書いていく。

「メイド喫茶」と書いた。すると、今度はソワソワした空気に変わった。


「うちのクラスはメイド喫茶をすることに決定しました。NO.1候補が運よく通りましたので。だから準備までしっかりするようにしてください」


 決定を告げると待ってましたと言わんばかりにクラスが声を上げて盛り上がりはじめた。

 この様子だと最後の文化祭はいい思い出になりそうだな。

 教卓の前に同じように出ていた、文化祭委員にあとはバトンタッチし、席に戻った。

 それにしても、メイド喫茶か…。男子も全員メイド服を着るのだろうか。

 そんな中さっそく作業が始まった。

 何人かは買い出しに出かけ、衣装組は話し合いをしているようだ。自分はといえば、どのグループにも入らず人手が欲しい時に入るサポートの役目と現場監督のようなものを任された。

 教室で書類チェックをしていると、扉がスライドし、やけに早いなと顔をあげる。


「はやかっ…お…鷹也?」


 手にボードを持って立っていた。相変わらずにこやかな笑顔を作りながら。よく見ると背後には生徒会メンバーが揃っている。

 なるほど、仕事か。


「当日までの準備期間の段取りは大体決まった?生徒会にも寄付金は届いてるから必要なものがあれば申請可能なので、何かあれば。これはその詳細な資料です。委員長!」


 目的を説明し、最後に俺を呼んだ。

 いつもなら名前だから少し変な感じだ。


「はい。これ一枚しかないからクラスで保管してもらえると助かるよ。何かあれば生徒会もサポートするからね」


 作った笑顔でニコニコする鷹也がおかしくて口元に手をやり隠す。盛大に猫被ってるな…。


「和美のクラスはメイド喫茶なんだって?和美も着るの?」

「え…さぁ…避けたいがその可能性は高いな」

「そっか。当日楽しみにしてるね」


 ん?


「会長のクラスは何をやるんだ」

「それは…当日のお楽しみってことで。それじゃ、この辺で。頑張ってね」


 意気揚々と去っていった。

 それにしても、さっき何か嫌な予感がしたんだが。あいつ、何か俺の方見てなかったような…?

 振り返った先の女子を見たが、目が合うとクスクス笑いあって手を振られた。

 な、なんなんだ!?

 その意味が分かるのはそんなに時間はかからなかった。







 後日、準備期間が始まり5日目に入ったその日。


「委員長ー!ちょっと来てー!」


 衣装組の女子に招かれ向かうと、紙袋を渡される。中を覗くと衣類だと分かる。


「なんだ?」

「なんだは無いでしょー、うちらの衣装じゃん。委員長も強制だから」


 少し驚いたが落胆はない。そんな気はしていたしな。


「それに、会長が念押ししてきたもんね。委員長は初めから強制だった」

「はい?」


 どういうこどだ!?初めて聞く内容に驚く。裏でうちのクラスに何か言っていたのか?

 女子達は笑いながら否定する。


「そんなんじゃないよ。視線と表情でなんとなくお願いされたっぽいのを受け取っただけだし」


 あぁ…!だからあの時、目が合わないと思ったのか。


「そ、そうだったのか。それにしても、俺なんか似合わないだろう」

「何言ってるの、ウィッグも付けるしメイクもするに決まってんじゃん。似合わないわけないし、似合わせるから」


 女子達の燃えるような意気込みに圧倒される。

 そうか、そうだよな。

 …出来栄えが良かったら鷹也に見せてやろうかなんて呑気に考えた。

 無事に準備が進んでいき、やがて文化祭は当日を迎えた。



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はぁー、だめだ全然進まねぇ(笑)

亀更新マジ有言してる

プロットもあるしストーリーも分かってるけど、進まない時期突入してる、ごめんな

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