第26話 レン無双
俺はこの時を待っていた。
メラメラと闘争本能が昂ぶる。
「ベチョ」「ベチョ」「ベチョ」
俺は襲いくる1匹の黒色ウルフめがけて、工場で培ったペダル踏みのリズムを取り入れた佃煮海苔3連射をおみまいした。
3発撃てば1発は黒色ウルフの目か鼻に命中するはずだ。
俺だって1ヶ月間、ただマシュー君と遊んでたわけじゃない。マシュー君を標的に己の射撃の腕を磨いていたのだ。
「ギャ、ギャ、ギャルゥー」
案の定、佃煮海苔は黒色ウルフの鼻に命中した。
黒色ウルフはのたうち回っている。
ハハハ、そうだろうね。
嗅覚の鋭い動物系モンスターなら苦しい筈さ。俺だったら遠慮願うね。
辛子十倍濃縮佃煮海苔なんて。
佃煮海苔が出せるなら、同じ工場で製造している辛子十倍濃縮佃煮海苔もだせるのではないかと俺は考えたのだ。
寝る前には、頭の中でイメージトレーニングを繰り返した。そして俺は到達したのだ。この高みに。
お次はお前だ、ハイゴブリン。お前には佃煮海苔魔法は使うまい。肉体と肉体の勝負といこうじゃないか。佃煮海苔の使い過ぎで、魔力枯渇にでもなったらマシューに笑われちまうからな。
ハイゴブリンが棍棒を振り上げる。そしてそれを俺めがけて振り落としてきた。
「もらったー」
俺はハイゴブリンの棍棒を持つ手首をするりと掴むと、その勢いを利用し円の動きを描いた。
すなわち合気。
ハイゴブリンの身体をぐるりと一回転させ、その顔を地面に叩きつけた。
効いただろうね、今のは。俺なら遠慮したいね。
自分の力を自分で受けるなんて。
俺は昨夜、思い出したのだ。
心配症な両親が幼い俺を護身術教室塩川道場に通わしていたことを。そこで俺はあの伝説の塩川先生に合気の極意を学んだのだ。長い年月使うことはなかったから忘れていたが、思い出せばこちらのもの。身体はすんなりと動いた。
「さて、マシュー君。感想はいかがかな。この圧倒的蹂躪の」
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