第24話 満天の星空

 制裁からしばらく時がたった。




 俺は草むらに寝そべり、さっきの屈辱について思い出していた。


 俺、29年間生きてきて尻なんて叩かれたことなんてあったけ。父さんも母さんも優しい人柄だ。体罰なんて俺にはしなかった。


 あー そういえば、父さん母さん元気かなー 1ヶ月くらい会ってないな。心配してるだろうなー


 二人の顔を思い浮かべると感傷的な気分になる。


 心配症な二人のことだ、警察に行方不明者の捜索願い出してるんだろうな。探偵とかも雇っているかもしれない。あの二人ならやりかねない。両親は俺のことが大好きなのだ。




 そういえば俺、工場で働いている最中に転移してるんだよな。どうケリつけたんだろ、人間消失。まあ、俺がいなくなっても大丈夫だろうけど。俺、ただの派遣社員だし。ラインの補充ならいくらでもきく。派遣転移か。むしろ無職の方がさらに言えば転生であれば華開いたかもしれん。有名だから。




「あーあ」




 頭の中をぐるぐるといろんな感情が駆け巡る。




 「どうしたんですか、レンさん。ため息なんてついて。元気出して下さいよ。さっきのに懲りてもういたずらやめたらいいだけです」




 マシュー君が俺の隣に寝そべりながら言った。




「そうだね、流石に懲りたよ俺も」




 そう言って俺は夜空を見上げた。




 夜空にはキラキラ光る満天の星空。




 綺麗だ。 


 澄んだ空気を吸い込む。


 ここは異世界。


 俺は実感した。




「マシュー君、ちなみに星に名前とかってあるの?」


「ありますよ、まあ地方によって呼び方違うみたいですけどね」


「例えばあれは?」


「ああ、あれはスコーピオンですね」


「ふーん、じゃああれは?」


「スバルですね」


「笑えないな、あんま」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る