第22話 探索

 出発からすでに8時間以上が経過していた。




 途中、昼食をはさみ俺達は探索を続けている。その間に可哀想な一般ゴブリンがどれだけ現れたことだろう。姿を見せたが最後、全匹バルガス自慢のバトルアクスの餌食となった。


 しかし、ハイゴブリンは未だ姿を現さない。笛の音も聞こえてこないので他の組もまだ遭遇していないのではないか。




「そろそろ野営の準備でもするか。さっきの木があんま生えてねえ草むらにしよう。あそこなら敵が来りゃすぐ分かるからな。見張り1人いりゃあ、十分だ」




 バルガスが暮れゆく夕日を見ながら言った。




「そうですね。戦闘は全てバルガスさんにお任せしてしまいましたので僕とレンさんに準備は任せて下さい。ほらほら、役立たずで無能なレンさん。草取り開始ですよ」




 マシューが人を小馬鹿にした口調で言った。




 普段の俺ならマシューのこの生意気発言にカチンときてるところだが、俺の心は今寛大だ。貴様を許そうマシュー。貴様が俺を怒らせ俺が佃煮海苔を放つことを狙っているのはみえみえ。なんとも浅はかなことよ。その手には乗るまいマシュー。




 しかもだ、俺は本当に生み出しちまったんだよ究極魔法を。ハイゴブリン相手にぶっ放してやる。貴様の驚く顔が見物だよ、マシュー坊や。




 クククッ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る