第10話 マライア
いろいろと疲れていたのか俺はあの悲劇的肩叩きの後、風呂に入ったらそのままぐっすりと寝てしまった。考えたいことは沢山あったのだけど。
しかし、身体の調子はバッチリだ。案外、あの肩叩き効果があるのかもしれない。
「おはよーごじゃいましゅ。レンしゃん、朝食の用意ができましゅたよ」
メアリーちゃんがノックとともに声をかけてきた。
「分かった。今行くよメアリーちゃん」
俺は食堂に向かった。
先客はいないようだ、昨日の夕食の時もいなかったし俺以外に客いるんだろうか、この宿屋。
「サラダとふかしポテトとクルミのスープでございましゅ、あっ、わとと、あああ、わわわ」
可愛らしい悲鳴とともにメアリーちゃんが盛大に転けて、俺の顔に熱いふかしポテト、身体に熱いクルミのスープがぶち撒けられた。
俺はその熱さに悶絶した。
「熱ーい」
すると、食堂の奥からブロンド巻髪の20代であろう美しい女性が飛び出してきた。メアリーちゃんのお母さんだろう。
「まあ、これはどうしたことでございましょう。ああ、メアリーがなんということを。レン様申し訳ございません。私はメアリーの母親で名をマライア・ロスフェラーと申します。首都メルカッド4大貴族の一角であるロスフェラー公爵家の長女でございますが、愛した男がただのハンター、結婚は認められるはずもなく、駆け落ちしてこの村にやってきました。しかし、愛する男は病で亡くなり女手一つでメアリーを育ててまいりましたが、今回なんという失態でございましょうか。ああ、申し開きできません、私の身体でよろしければ煮るなり焼くなりなんなりと、ただ我が子メアリーだけはどうかどうかお許しを、ううう」
長い長いよ、お母さん。
「お母さーん、俺、ただただ熱いんですけど。早く水につけた雑巾下さーい」
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