第122話
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「キヨラちゃん……」「トオルちゃん。良かった……」繋いだ手に、二人して微笑む。急加速していた気持ちが穏やかなものへと変わるのを感じながら、キヨラは起き上がった。涙を拭えば、驚いた様子のかよこと目が合う。「な、なんで……!?」「残念だったわね。あなたなんかに引き裂かれるほど、柔い絆じゃないの」「っ、生意気な、!」呪詛返しにガクリと膝が折れ蹲るかよこは、心底忌々しそうに彼女たちを睨みつけた。しかし、膨大な呪詛返しを受けたかよこはその身に強い衝撃を受け、耐えきれずにその場に倒れ込んでしまった。キヨラはトオルと一緒にかよこの四肢をシーツでぐるぐる巻きにすると、キヨラの家へと電話をかけた。キヨラはトオルと二人でハイタッチをした。「やったね、キヨラちゃん」「トオルちゃんこそ、ありがとう!」
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──その後。回収に来たキヨラの家の者によって別の病棟へと運ばれたかよこは、悲惨な日々を送ったのだとか。曰く、周囲の患者たちに心無い言葉で刺され、『妄執』となった。それから直ぐに、かよこは患者達の手で蒸発させられ、『希望を与えて全てを叩き潰すマシン
かよこ』を無事退治することに成功。退院したキヨラとトオルは、その報告を遠い家でひっそりと受けたのだった。
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