不幸は当たり前の幸福という肌にできたニキビだ(〇ーランド))

 当たり前の幸福というものがある。それは帰る家があるだとか、両親が揃っているだとか、突然爆弾が降ってくる心配をする必要がないというようなものだ。それ自体がそれを持たない者にしては幸福だけど、当の本人はそれが日常過ぎて気づかない。そして不運が降りかかれば、「私なんて不幸なのかしら」と悲劇を上演し始める。どうしてそうなるのか――。


 不幸は当たり前の幸福という肌にできたニキビだからだ。



 ニキビ自体は顔の面積に対してはとても小さい。だがとにかく目立つ。不幸も同じだ。それまでがなんてことなくても不幸が起こった瞬間、その不幸のことが気になって気になって仕方なくなってしまうんだ。


 だが気になるからといってむやみに触ってはならない。不幸のニキビはつぶれ、跡が残ってしまう。不幸に執着するのはよくない。優しく、優しく肌をお手入れするんだ。当たり前の幸福を大切にするんだ。希望の大地はまだそこに広がっている。

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