第3話 ジココウテイカン

小さな職場の若い店長さんが何気に言った。

「僕、ジココウテイカンが少し低いんです。」

えっ?五体満足で?中肉中背の普通の顔で?店長さんで毎月給料もらってて?

彼女もいて(しばらく後、別れたらしいけど)?

Wikipediaによれば、自己肯定感「自らの価値や存在意義を肯定できる感情」とある。

 1969年式スカGは2.0L直6DOHC160PSの「羊の皮を被った狼」である。

貧乏でもこいつをとにかく買っちまう。独身寮で毎日インスタントラーメン食いながら長期の月賦で買う。庶務の女子をドライブに誘う。芦ノ湖スカイラインを疾走する。カセットラジオからはビートルズが流れる。

これでたやすく勘違いできた。

ジココウテイカンなんていう言葉は知らなかった。


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