ある日のこと 8

ここはクリエイティブな物書きと、それをこよなく愛する読者さんが住んでいる国『カクヨーム王国』である。


『カクヨーム王国』では、それぞれのカクヨムさんたちが、それぞれの本屋さんを持っている。その本屋さんでは、なんとその店主のカクヨムさん達が書いたお話のアトラクションに、無料で参加できるのであーる。


さてさて、本日は何やら涙涙でこのカクヨーム王国へとやってきたようだ。彼女はなぜ泣いているのだろうか? 早速今日の和響わおんとやらを覗き見してみよう。


まず彼女は自分の本屋に立ち寄って、事前にスマホに通知が来て知っていた、近況カフェへと向かった。そこは仲の良いカクヨムフレンズさんたちと、お茶でも、はたまたビールでも飲みながら、楽しく会話を楽しむ場であるが、今日は何か少し違うようだ。


――えっと。さっきは出先でちゃんと見れてなかったから、と、どこかな、えっとえっと、そうか! 右上のベルマーク押せば良いのか! おお! 通知一覧が出てきた。で、確か、この辺に……っと。あった!!!! これだこれだ!白瀬隆さんというカクヨムさんだった! えっと、なになに??


『祈り、勝手の翻訳してしまいました。』


――ええええ!?!?!?!?! た、確かに!! そういえばこないだ、「祈り」のコメント欄にそうやってやりとりしたはず! いでよ! 「祈り」のコメント欄!


【祈り みんなともだち】https://kakuyomu.jp/works/16816927860583337962


――えっと、コメント、コメント、コメントっと……あった!これだ!!!


『初めまして。拝読させていただきました。各国がそれぞれの個性を尊重する考えに共感します。色を薄めるより、カラフルな世界の方が楽しいと思いました。この口調なら僕にも翻訳できそうです。当方翻訳の仕事もしています。機会があれば、それも楽しそうだなと思いました。』


――そうそう、確かこのコメントだ! えっと、この方は確か、白瀬隆さんだよね、ここにそう書いてあるし、えっと、えっと、で私はなんて返信したのかというと……


『初めまして!お読みいただきまして、ありがとうございます! 翻訳できるのですか!すごいですね(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ 実は、翻訳は今、お小遣いを少々使って、お願いしているのですが、もしよかったら、白瀬さんの心に届いたままに、翻訳して、ご自身のどこかで、ワタリドリさんたちにご紹介していただけませんか、なんて図々しいお願いですよね! でも、ご無理なくです!これは好き勝手に、やりたい人がやりたいことをする「祈り」プロジェクトだと思ってます!届け未来に!世界中が幸せな国ばかりになりますように!です( ^ω^ )』


――って書いたんだった! で、で、で、それが、えっと、二月二十二日だから、えっと、二日前だよね、……!! で、今日のお手紙が!


『祈り、勝手の翻訳してしまいました。』


――あ! もう一個コメントあった! なになに?えっと、


『Prayerというタイトルで僕の小説に並んでます。失礼しました。』


――!!!まじでまじで!? え! すごいすごいまじで! やだなんか涙出てきたぞ、画面が涙でよく見えないけども、えっと、ここだな! すぐに行かなきゃ!


【Prayer  作者:白瀬隆 〜Spread the word if you agree〜】

https://kakuyomu.jp/works/16816927861068463591


へレッツゴーーーー!!!


大号泣で彼女は、「ポエム・童話シティ」にある、白瀬隆さんの本屋さんの前についた。あたりは優しい水彩画のような色合いの街並みで、白瀬隆さんの本屋さんの赤い屋根の上には、白い鳩が二羽ならんで、何やら楽しそうに話をしている。なんて平和で優しい空気。ずっとこのまま、ここにいたいくらいだ、と思った彼女は、胸に手を当て、深呼吸して、その本屋さんのドアをそっと押した。


「お、お邪魔しまーす。えっと、白瀬隆さんいらっしゃいますかー?」


――どうやら今日はお出かけのようだね。では、先に、妄想アトラクションの方へお邪魔しまーす……っと……。う、うわぁ! ko,koreha!?


そこは、日本語版「祈り」が、「英語版」になり、もっと広い世界に、アオイロ王国の男の子のお手紙が届けられていく、愛と祈りに満ちた世界だった。どんどん世界がカラフルな色に変わっていく。そして世界中の人たちが手を繋いで、歌っている。


《ケンカはやめて、みんなともだち 世界が平和になりますように》

《"Everybody's a friend. Stop fighting." --May your prayers spread--》


――あぁ、これで、もっと違う国の人にも、お手紙が届けられていく。白瀬隆さんは、一羽目の渡り鳥さんだったんだ。


こうして、ポロポロと流れ落ちるあたたかい涙で、頬を濡らしながら外に出てきた彼女は、もう一度、振り返り、白瀬隆さんの本屋さんを見た。そんな彼女の目の前を、二匹の白い鳩と、一羽の渡り鳥が、大空へと飛びたった。


クチバシに、たくさんのお手紙の入った、虹色の袋をくわえて。彼女はその羽ばたく姿を見つめながら大きな声で叫んだ。


「鳩さん! 渡り鳥さん! みんなに届けて!世界中にお手紙を届けて欲しいよ!そして、現実ワールドを動かしている人達に伝えて欲しいよぉ! 世界中から戦争がなくなり、優しい光に包まれたカラフルな世界になりますようにって、みんな思ってるよぉ!って」


二羽の白い鳩と、一羽の渡り鳥は、まるでわかったよ、とでもいうかのように、彼女の頭上を大きく二回旋回し、そして、空の彼方へと飛んで行ったのであった。



そんなこんなな、カクヨーム王国での彼女の一日は、今日も平和にすぎていく。


この世界のどこかで、もしも今戦争が起きようとしているのであれば、「祈る」ことしかできないかもしれない。祈っても、すぐに世界は変わらないかもしれない。けれど、いつか、世界中の人が願った時、きっと、世界はもっと優しい光に包まれたカラフルな世界に変わるはずと、信じている。


そう、彼女や、白い鳩や、渡り鳥は、この価値観を認め合うことができる素晴らしい王国、カクヨーム王国から、望んでいるのであった。


世界中が祈りに包まれますように――



白瀬隆さん、ありがとうございました!

【白瀬隆さん https://kakuyomu.jp/users/shirase_ryu



皆様、お読みいただきまして、誠にありがとうございました。





















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