第339話『学会に提出しなければ……っ!!』





 第三百三十九話『学会に提出しなければ……っ!!』





【人物紹介】


【吸血鬼フオウ・ムラマサ=シマズ】魔神妃。魔力で作られた黒いロングドレス、水色のボーイッシュヘア、灼眼、身長は170cm、主張しすぎない胸と引き締まったヒップ、ルビーのように光る瞳、真っ赤な唇、たまにのぞく鋭い犬歯がゴリラを狂わせる。

 ジュダス帝国南部の大都市に奴隷として囚われていた。ジュダス帝国から保護した当初、ゴリラの右手人差し指をガジガジ噛んだので、物理無効で傷一つ付かなかったゴリラは萌え上がった股間のイライラが止まらなかった。

 魔皇帝の養母『オマーン・ハーン=キュベレイ』の遠縁。大型機動兵器『旧型サイコメンタル』に乗れる。サイコメンタルの機体全体から放たれる【拡散瘴気ビーム砲】は強力。



【ミギカラ・マナ=ルナメル】魔王種、南浅都督、正二位しょうにい大将軍。最古参の一人。最初の戦死者となった五英雄の一人シタカラは息子。ゴリラと同じくセクロスが大好き、妖蜂や妖蟻の王皇両族に手を出した猛者。妻のウエカラは夫の軽すぎて情けない下半身を嘆き尊妻ヴェーダに相談すると、何故かレベルアップと進化を経て王宮で上級侍女として働くようになったが、彼女だと気付いていないゴリラに前も後もヤられて『初恋』を知った模様。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 十月二十日、朝、【です☆すた】内の深部、アルプスの少女が走り回っていそうな大自然フロア、王侯将相専用ホテル『マハ☆ラジャ』朝食会場。


 その朝食会場に入ってすぐ、ヨトゥンヘイムの魔王とオリュンポスの海神がアホな喧嘩をしていた。


 アングルボザが抱えている小ちゃい俺を『自分の妻』と『自分の娘』に婿入りさせろと言っているわけだが、妻に婿入りと言うパワーワードが頭痛を誘発する。


 取り敢えず話を聞いてみたが、結局はチビ直樹がもう一人居れば済む話だったので、簡単に解決した。


 しかし、詳しく海神側の結婚相手を聞いてみれば、日に焼けた肌に金髪碧眼のイケメン海神ポセイドンに似た娘っ、ではなく、美丈夫ポセイドンの娘は水棲生物的な半魚人、しかもガッツリ魚類系の方だった……何故父親に似なかったっ!?


 クッ、せめて人魚にして欲しかったが、とにかく、水棲なので俺の体も水陸両用にした方が便利だと判断。『小学四年生の夏休み』をテーマに創り上げた『スクール海パン直樹(十歳)』を婿入りさせた。


 ポセイドンは「うむ、手ビレも足ビレも丈夫、海パンも機能的だ」とご満悦。昔のスクール海パンはパッツンパッツンで恥ずかしかった思い出しかないが、気に入ってくれて何より。


 ロキさんとボザママも五歳児ナオキ(寝)をゲットして大満足。寝ているのにボザママの右乳首を鼻先でつつく五歳児の股間も満足だ。ボザママは少しトリップ気味か、目が逝っている。



 ふぅ、両者が落ち着いて騒ぎも収まった。

 俺とルーカスは会場内を見回す……問題無しっ!!


 ルーカスが悪魔侍女達に命じて会場入りした皆を席に誘導させつつ、『では参りましょう父上』と自ら誘導役を務め、俺達を奥の王皇専用エリアに案内した。


 俺達、と言うのは、俺の世話をする侍女隊とは別に、いつの間にか俺の隣に吸血鬼ヴァンパイアのフオウさんが居たからだ。


 さすが吸血鬼一の才女、魔皇帝の御母堂『闇の女王オマーン・ハーン=キュベレイ』と遠縁は伊達じゃぁ無いな。接近した気配をまったく感じなかった(白目


 クゥッ、この二千歳乙女……ややツンデレ気味な所は可愛いが、俺が秘かに名付けた『五サイコ将軍』の一人だ。


 イズアルナーギ様が面白半分で創った精神崩壊上等の超クソ燃費な機動兵器を自由に動かせる底無し魔力と鬼メンタルを持っている……


 な、何の用だろうか、また僕を桃色空間に監禁して吸血セクロス感謝祭をやるのだろうか、僕の胸は不安でドキドキしているのに、ペニスは臨戦態勢に移行し始めた……


 クッ、ヤッてやるっ、ヤッてやるよぉっ!!

 でもまずは軽い会話からやってやります。



「え、えっと、どうしたのフオウさん? プルピー達とロボ見学じゃねぇの?」


「あっちは大魔王様の御一家が楽しんでるからね、私はお邪魔っぽいから抜けて来た」


「ん? あの一家は俺の嫁を邪魔なんて思わんよ?」

「ほほぉ、俺の嫁? あぁ私の事か~、そかそか、カプッ」



 えぇぇ……何で首を噛まれたのかな?


 魔神妃になって【貫通】スキルが生えたんだよねフオウさん。


 だから俺の体に牙が通るんだよね、血もガンガン吸われるんだよね。


 何だろうなぁ、イセトモアテナの【貫壊】よりはマシだが……

 俺に傷を負わせる事が出来る嫁が増えるのは、何だろう……

 ひょっとしてこの四人以外にも嫁の中に居るのでは……?


 勿論ヴェーダは除外だ、アイツは傷では済まん。


 そう言えば……


 吸血鬼は耐性はけんが防御力無視の【穿通せんつう】持ちだったな……


 フオウさんはそれが進化したのかな? 

 じゃぁ【穿通】持ちの妖蜂と妖蟻は要注意か……


 まぁ『俺』は沢山居るから、仮に何かの間違いで死んだとしても何の問題も無いけどねっ!!


 いて問題を挙げるとすれば……

 ママンが切れ散らかすくらいじゃないかな?


 アッハッハッハ。


 ……いやそれは一番ダメじゃん。

 俺は誰一人死んではイケナイ(確信


 ところで……フオウさんはいつまで俺の血を吸っているのだろうか、自然回復スキルが無かったら死んでおりますぞ?


 首にぶら下がった人形みたいで可愛いので、左手で彼女のケツを支えつつ歩く。少しだけ左手中指をイケナイ場所に押し込んでみたら首に刺さった牙が5cmくらい伸びた、ウソやろ……


 フオウさんはそのまま大しゅきホールド体勢に移行。


 俺に抱き着いて離れないフオウさんをぶら下げたまま、ルーカスに勧められた席に着く。ウッ……何だとっ!!


 俺用の大きな椅子に座った直後、ペニスに電撃が走った。


 白いクロスが敷かれたテーブルの下にあらかじめ待機していたフリンの素早い口撃こうげきっ!!


 このサキュバス、無駄に身体スペックが高い……っ!!

 はうぁぁっ、首から血液っ、股間から白い液がヌかれるぅっ!!



「父上、皆様へ朝食前の御挨拶は……」



 ルーカスが至極真っ当などうでもいい事イッてるぅぅっ!!


 俺は今それどころじゃなイッんだ愚か者め、見て分からンホぉっ!!


 俺の様子を察した(遅い)ルーカスが、シタカラや古参ゴブリン眷属が集まるテーブルで談笑している四十歳の岸直樹の許へ行き、俺の代わりに朝食前の挨拶を頼んだ。


 四十歳の俺は幸せアヘ顔ゴリラの俺を見て「次のジャンケンは負けんぞ」と血涙を流しながら誓い、立ち上がって朝食前の挨拶をした。



「あぁ~、えぇ~、朝食の前に、一つ言っておきたい事がある……まだ知らん奴も居るかもしれんが、俺は岸直樹、あそこのゴリラと同じ存在だ、判る奴には判るな?」



 ザワザワッ……



「そう、俺はマハトマ・ナオキであるが、あそこのゴリラと同じであって同じではない難しい存在だ……」



 ザワザワッ……

 ザワザワッ……



「そこまで深く考える必要は無い、ただ、俺が言いたいのは……俺や他に居る俺、例えばあっちの席で妖蟻の皇族とイチャってるアホや、そっちの席で妖蜂の先代女王にシャブらせている馬鹿は……まぁ正味の話、全員独身だ。さぁ食べよう、イタダキマンモス」



 馬鹿かお前は……

 何だその挨拶は……



 ガタッ!!

 ガタタッ!!

 ガタタタッ!!

 ガタタタタッ!!

 ザワザワザワザワッ!!



 立ち上がる女性眷属が集団で同時に椅子を引くと、轟音になる、一つ勉強になったな……(白目



 俺は不可触神じゃないんだ、『俺の数』にも限りが有るぞ?






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