ペド伝説第三章「ただの【火球】なんだが?」
ペド伝説第三章『ただの【火球】なんだが?』
静かな熱気に包まれた傭兵ギルドの屋外訓練場。
智愛神の気遣いか、曇天だった空は快晴に移る兆しを見せ、太陽がスポットライトの如く乱層雲を貫き、ステージに立つ大根役者を照らす。
ペド・フィーリアは広大な舞台の中央で絶頂を迎えていた。
セパルトゥラ傭兵ギルドは巨大、組織も敷地も建造物も全て大きく広い。
屋外訓練場も例外ではなく、ローマのコロッセオを彷彿させる外観と威容を誇る。傭兵ギルド屈指の観光名所と言っても過言ではない。
訓練の見学や視察は勿論のこと、街に訪れる観光客の為に設けられた観客席は六万席、貴賓室が百二十室、王皇専用特別室は十六室用意されている。
この世界の王侯貴族が羨望する完璧な造り。
そんな場所に、暫定ゴミキングことペド・フィーリアは招かれた。招待理由は身体能力と技術の査定、および測定。
そうして丁寧に招かれた訓練場に入ってすぐ、ペドは『大観衆の視線』と言う名の先制攻撃を受ける。まさかこれほど大勢の観客が居たとは夢想だにしない。
その数なんと五万七千余。初めて見る『人の集まり』だ。
初めは訓練場の大きさに圧倒されたペドだったが、この状況にはド胆を抜かれた。まるで自分の為にお膳立てされたかのうような……そこでハッとする。
こうなると、むしろ今までの状況は、何から何まで勇者たる自分の為に神が用意したご褒美なのでは?
そう思ってしまうのが生粋のゴミ。
名も知らぬ神の意志に気づいた途端、彼は訓練中の傭兵を掻き分け、ステージの中央まで一直線に走った。
中央まで駆け抜けた彼は、観衆を見渡し、呟く。
「時代が俺に追いついた、か……ンッ、ほぉぅぁ」
軽くトリップして体を震わせ、彼は至ったのであった。
五万を超す衆人環視の中で、ペドは賢者となる。(史上初)
彼の周囲に漂う片栗粉の香りに数名の
天使を含む美男美女に様々な視線を向けられるペド、彼にとってそれは壮絶な『衆人姦視』のご褒美と言える。
つまり『プレイ』だ、イクしかないじゃぁないか。
開き直って苦笑するゴミクズ。肩を竦めつつ股間を汚す。
賢者タイムに入ったペドは無敵、天使だって怖くない。
『呼吸をするのも面倒なんだが?』そんな態度だ。
ギルド加入試験を終える前にやる気を失う大賢者ペド。
貧乏暇無しと愚痴を垂れていた男の本質が見え隠れする。
彼の賢者タイムは終わりを見せない。
少しばかりイキ過ぎたようだ。
見るからにやる気を失った彼に非難の目が向けられた。
当然だろう。ヤル気の無いマグロなど人畜牧場にいくらでも居る、見飽きている、観客は活きの良いイケニエを欲しているのだ。
大観衆による無言の圧力はゴミクズに効いた。
と言うより、観客席の最前列に並ぶ幼女集団に反応した。
ペドは苦笑し自問する。
幼女達の前に立つ自分は何者だ?……
九十三回、俺の逮捕歴。
王都メジロ通りで三年連続捕まった漆黒の性犯罪者。
ヒールか、ヒーローか。
夢精か、本番か。
極限まで反り返ったペニスに、鬼が宿る。
その男の名は、ペド・フィーリア。
やる気を取り戻したペドが『ヤレヤレ困った頑張りますよ』と肩を竦め、幼女達に情熱的でイカ臭い視線を送る。その直後、幼女達は血を吐いて倒れた。
幼女達にはまだ性的邪眼耐性が備わっていなかった。酷いっ!!
十七名の幼女が一斉に吐血し大問題となった『ペド事件』の真相だ。
失神する幼女達に『やれやれ刺激が強すぎたか?』などと気色悪い勘違いで苦笑を浮かべる性犯罪者ペド。イケナイ薬でもやっているのだろうか。
自分に対する嫌悪感を周囲へ植え付けるクズ、謂わば『無自覚な公害』、これほど迷惑なものは無い。天罰効果を自覚するゴリラが幾分マシに思える。
幼い悪魔少女達が原因不明の吐血と失神に襲われ、その周囲は大騒ぎになったが、ヴェーダの指示で動いた大神官タスロ率いる神官衆が場を収めた。
「まったく、騒がしいのは嫌いなんだが?」
騒ぎの元凶が放った一言に、タスロ達が側頭部に傷を負い出血。コメカミの血管が数本切れた模様。
うつむき加減に『失礼した』とペド容疑者に謝意を表し、タスロ達は保護した幼女十七名を抱え訓練場を後にした。
その様子を見ていた痴漢常習犯ペド氏は舌打ちする。
自分が運べば十七回も絶頂出来ていた、そこに後悔を覚えずにはいられない。
再びやる気が下がったペドだったが、幼女達が去った場所に新たな幼女達が補充された事により復活。無論、補充は智愛神の指示による。
幸運を神に感謝するペド。
采配を振ったヴェーダは届いた
ペドは察する、今度の幼女集団は切れ味が違う、と。
何の切れ味かは常人に分からない。分かる者は自首しよう。
切れ味確認を済ませ、フッと苦笑するペド。
実際はネチョリと笑っている。
先ほど運ばれて行った幼女集団には無かった『期待した眼差し』が自分に向けられている。ペドの幼女を見る観察眼に間違いはない。
勃起不可避。ペドは気合を入れ直した。
俺は甘えていた、幸運と言う名のワインにっ!!(意味不)
輝く性犯罪者ペドは再び自問する。
幼女達の前に立つ俺はこんなもんか?……
九十三回、女に振られた俺。
王都メジロ通りで婦女暴行三連覇を果たした漆黒のストーカー。
ヒールか、ヒーローか。
外出しか、中出しか。
“
先祖が残した言葉は宿命だ。
限界まで
見つめる幼女達に力強く頷くペド容疑者。
幼女達はヴェーダが神気障壁で視界を塞いたので無事だ。
鬼を宿したペドのペニス、略してペドスが四連覇を待ち望む。
幼女達に大活躍を見せたい、イキる為に不可欠なイベント。
「早く査定を始めて欲しいんだが?……」
既にトップスター気取りのペドが濁った眼球を左右に動かし、目当ての人物に声を掛ける。この時『ヤレヤレ困った気が利かないな感』を出すのもトップスターの努め。しなくていい努力は
敬意や謙譲は母の子宮に捨ててきた。
俺が敬うのは俺だけだ。俺が譲るのは盗品だけだ。
それがペド・フィーリアの生き様っ!!
「って、そう言えば、あんたの名前聞いてないんだが?」
「……セイラですが」
「なぁセイラ、俺はヒマじゃぁないんだが?」
「……ッ、ふぅ、では、先ずあちらに見える
「はぁ、ヤレヤレ、火魔術でいいのか?」
「……ご自由に」
説明不足にクレームを入れた男とは思えぬ説明不要ムーブ。セイラはペドの殺害方法を考える事で頭が一杯だ。そして目は死んでいる。
ここの受付嬢は股間に厳しいなどと考えつつ、ペドは火魔術の詠唱をしながらセイラの生足をチラ見していた。
女性ギルド員が着る紺色の衣服はタイトで、エロ絵画で見た伝説の女教師服を想起させる。スカートは短いし胸元の白いブラウスは大きく開いていた。
ペドは股間のイライラが止まらない。
少女達を救う前に、ここの女性ギルド職員達を教育する必要が有りそうだ。
ペドは苦笑し、熟女セイラの性教育をイライラ棒に誓う。
それに、この【火球】が的にヒットし、その威力を見れば、彼女自ら股間教育を申し出るはずだ。
ペドは突き出した右手の前に浮かぶ【火球】を見て確信を得た。
死んだ母親に『なるべく他人に見せるな、王都では絶対見せるな』と言われた冥界の業火。
隠す理由は教えてくれなかったが、今なら母が伝えたかった事が分かる。
ペドは周囲に視線を送った。
見ている、自分の魔術を、冥王の炎を、目を見開き、だらしなく口を開き、驚愕とも呆気とも思える表情で見ているっ!!
「全力でいいのか?」
そう、つまり――
「えっ、あ、はい、どうぞ……」
自分の魔術は――
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