第47話 攻略完了
ボスを倒して宝箱が出てきた。ボス部屋で出現する宝箱にはトラップは仕掛けられてないと言われている。
実際ガイ達のパーティーにいた頃はボス戦後の宝箱に罠が仕掛けられていたことはなかったからね。
「ネロ宝だよ!」
「スピィ~♪」
エクレアとスイムは宝箱を見てテンション上がったみたいだよ。スイムを抱えてくるくる回ってるし。何だろうもう可愛い。
とは言え一応注意しながら宝箱をチェックする。
「罠は掛かってないようだね」
「うん。良かったよね」
「スピッ!」
エクレアとスイムも安心したみたいだね。もっともボス部屋の宝だからエクレアもそこまで心配してなかったようだけど。
「開けるね」
カチャッと音がして箱が開く。中に入ってたのは、あれ?
「これは――赤い魔石と宝石だね」
気になるのは宝石で、石の中心が淡く光ってる。実はこれスキルジュエルに見られる現象だ。
「もしかしたらこっちの宝石はスキルジュエルかもしれないよ」
「嘘! もしかしてラッキー?」
かなりの幸運だと思う。スキルジュエルは中々低層で出ることはないらしいからね。
「何のスキルジュエルかは鑑定してもらう必要があるかな」
鑑定は特殊な道具を使うか鑑定師の紋章を持った人にしか出来ないとされる。
基本的にはギルドに専属の人がいるからお願いすればいいんだけどね。
「後はこの魔石だね。これもギルドに引き取ってもらう形かな」
「スピィ――」
僕とエクレアで相談しているとスイムが魔石を見て反応を見せた。
何だろう? どこか物欲しげに魔石を見てる気がする。
「スイム。もしかしてこれ欲しいの?」
「――!? スピィ~?」
スイムがくれるの~? といった感情を滲ませてプルプル震えた。
「スイムっては本当可愛い~」
「スピィ♪」
エクレアもスイムにはデレデレだね。抱きしめられてスイムも嬉しそうだ。
「でもどうしようか? スイムがおねだりしてくるのは珍しいんだけど」
「ならあげようよ。スイムにもお世話になってるし」
エクレアは魔石を上げてもいいと思ってるようだ。僕も同じ気持ちだし荷物を保管してくれて普段から助かってるしね。
「うん! それならスイムにはい」
「スピィ~♪」
エクレアがスイムを床に下ろして上げて目の前に赤い魔石を置いた。するとスイムが魔石の上に移動して――
「スイム。もしかして魔石を食べてるの?」
「スピィ~」
そう魔石はスイムの中に取り込まれてしまった。いつもの保管の為とは違ってスイムの中に魔石が浮かんでるのが見える。
それもしばらくして段々と小さくなって消えてしまったんだけど――その時スイムが一瞬だけピカッと光った。
「驚いた~スイム大丈夫なの?」
「スピィ」
「大丈夫そうだね」
どうやら体調的にはなんとも無いらしい。でも魔石が好物だとは知らなかったね。
でもスイムが喜んでくれてよかった。
「スイム今後も欲しかったら言ってね」
「スピィ~……」
あれ? 何だろう。スイムがなにか訴えたそうな……そういえば。前に手に入れた魔石にはスイムは特に反応もしてないし普通に保管してたよね。
と、なると今回の魔石はスイムにとって特別だったということなのかな?
「何か今回の魔石には意味があるのかな?」
「スピィ~♪」
「スイムが何か喜んでるみたい」
エクレアがスイムを突っつきながら笑って見せた。そうか……それが何か今はまだわからないけど結果的にスイムが喜んでくれたなら良かったけどね。
さて、これで宝箱の中身も回収したし奥の扉を抜けることにする。
するとダンジョンが揺れだした。これはダンジョンが進化してるのかもしれない。
扉を抜けると右の壁にゲートが現れていた。更に正面には下に向かう階段。どうやら予想通り進化して次の階層が生まれたようだね。
「この下も気にはなるけど一旦出たほうがいいと思う」
「うん。あの悪い執事の件も報告しないとだしね」
「スピィ!」
ハイルトンのことだね。確かに放っておけない。というわけで僕たちはゲートを使うことにした。くぐるとあっという間にダンジョンの外に出ることが出来た。
ゲートは僕たちが出てすぐに消えてしまったから次はまた一層から挑戦することになる。
さてと、とりあえずこのまま町に戻らないとね――
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