第343話
「負傷者を優先しろ!」
「砦から荷車を持ってこい!」
「収納持ちの魔術士は魔物の死体を回収するんだ!」
(ジェラードさんは?)
戦闘後の後処理が始まる中、ジェラード隊長を探した。
すぐに上半身を起こしただけの姿勢で兵士に指示を出してる姿を発見した。
「…………に指揮所に来るように伝えてくれ。……君か」
「ジェラードさん、援護ありがとうございました。
砦の皆さんの奮戦がなければ特殊個体は倒せませんでした」
「礼を言うのは我々のほうだ。
君がいなければ特殊個体を倒す術はなかったし、この砦も落とされていただろう。
レグザール砦守備隊を代表して君に感謝する」
「いえ、援軍として来てるのですから当然のことです……っ?! ジェラードさん、その腕は!?」
ジェラード隊長の左腕が肘から下がなくなっていた。
「傷口自体は君の回復魔法でもう塞がってるがな」
「特殊個体の攻撃で、ですか?」
「いや、奴の攻撃を受けて落馬した際に他の騎馬との間に挟まれてしまってな」
ちぎれてしまった、という感じか。
この傷では俺の回復魔法でも繋げることはできない。
ここには見当たらないが、おそらくちぎれた腕のほうも酷い状態なのだろう。
「前線でもう剣を振るうことができなくなったのは残念だが、命があるだけまだマシだろう」
「亡くなられた方は…………」
「50名を超える見込みだ」
「あの短時間でそんなに…………」
二手に別れた騎馬隊がそれぞれ2回ずつ黒オーガに突撃したのだったか。
1回の突撃で10名以上の戦死者を出してしまったことになる。
最後のほうは盾を持った歩兵も突っ込んでいたが。
「私と同じように落馬した際に後続の下敷きになって死んだ者もいるのだ」
1体に対して密集して突っ込む以上は、そのような死者が出ることは想定内なんだろうな。
「君が気に病む必要はないからな。
これが我々の仕事のなのだし、君に感謝してるというのも本当のことだ」
「はい……」
しまったな。表情に出てしまっていたか。
「さて、……っとと」
ジェラード隊長は起き上ろうとした際に、左腕を失った影響からかバランスを崩してしまう。
「これから商都に届ける報告書を書かないといけないので失礼する。
1刻(=約2時間)ほどしたら指揮所に来てくれ」
「わかりました」
…
……
…………
敵襲までぐっすり寝てたので宿舎に戻る気にもなれず、砦内をぶらぶらして時間を潰した。
特に見るべきところもないので散歩するのと変わりはなかったが、時々砦の兵士から指差されたりはした。
それと黒オーガを倒したことでレベルが上がった。
川端努 男性
人種 15歳
LV41→LV42
HP 696/ 696→ 768/ 768
MP 4647/6975→3131/7955
力 148→155
早さ 173→180
器用 181→189
魔力 692→741
LP 58P→60P
スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv8・浄化魔法Lv7→Lv8・火魔法Lv4・水魔法Lv4・風魔法LvMAX・土魔法Lv8・氷結魔法Lv4・回復魔法Lv8→Lv9・魔力操作Lv7→Lv8・MP回復強化Lv8・MP消費軽減Lv8・マジックシールドLvMAX・身体強化Lv4・剣術Lv2・槍術Lv2・投擲Lv1・敵感知Lv9・地図(強化型)・時刻・滞空魔法・飛行魔法
2体倒したのでレベルも2つ上がるかと期待したがそんなことはなかった。
浄化魔法・回復魔法・魔力操作の3つのスキルレベルが上がっているが、この戦闘で上がったのではなく自分がチェックを怠っただけだろう。
時間になったので砦中央広場に仮設置されている指揮所へ行く。
天幕の入り口に立っている歩哨に来訪を告げ中へと入った。
「来たか。
先ほど商都から新たな飛行魔術士が着任してね、援軍も明日の昼過ぎには来るようだ」
「早く来るみたいで良かったです」
当初の予想ではどんなに早くても援軍の到着は明日の夜遅くと見込まれていた。
「ああ、こちらとしても有難いよ。
兵達にとっては強行軍で大変だろうが」
「……それで自分を呼ばれたのは?」
「この報告書を商都の司令部に届けてもらいたい。
君は確か前線視察の途中だったな。商都に戻ってしまう形になってしまって申し訳ないが」
「視察なんて大層な目的はありませんので、商都に戻るのは一向に構いません」
なにせ張り切って援軍に来たのにやる事ないから前線を見て回ろうとしたってだけだからなぁ。ついでに負傷者の治療を手伝うつもりだったけど。
「ただ自分としては援軍の到着まではこの砦にいるつもりでしたが……」
「ここに来たばかりの飛行魔術士が魔力を回復させるのには時間がかかる。
もちろんこれはあくまでも"お願い"であって強制力はないが」
第4波攻撃がないとも限らないしこの砦を離れるのは心配だ。
でもまた新たに黒オーガを繰り出してくるなんてことはないか。
通常の攻撃なら砦の守備隊で対処できるのだろうし。
それに現場の指揮官の意向に沿うとコートダール軍の司令とも約束したしな。
「わかりました。商都に戻りますね」
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