第151話

 結果ボロボロに負けてしまった。


 トルシュの剣の腕はロザリナよりかは下なのだが、男性なのでパワーがある分一撃一撃が重かった。

 すぐに手足を駆使して戦うケンカ剣術(俺的には拳法剣)に切り替えたのだが、一撃喰らう毎に動きが阻害され連続攻撃を止められてしまった。

 ここしばらく冒険者ギルドの剣の指導に顔を出していなかったこともあり、回復魔法を使えない状態だと初心者相手にしか勝てない腕前なのを嫌と言うほど再認識させられた。



「あ、ありがとうございましたぁ」


「いえ、こちらこそ」


 3時間近くボコボコにされ続けてようやく終わった。

 対戦中盤以降、倒れた(ダウンした)際には回復魔法を使用するよう強制されて俺がボコられる回転が上がった。


 こんなので実戦感覚を取り戻せたのだろうか?

 ボコられる感覚を思い出しただけのような……


「今日は悪かったわね」


「いつでも声掛けてください!」


「これ少ないですが……」


 大銀貨3枚をトルシュに差し出す。


「そんな、気持ちだけで結構ですので」


「狩りの邪魔しちゃったし遠慮なくどうぞ」


 トルシュはチラチラとロザリナを見ていたが、


「頂いておきなさい」


「わかりました、ありがとうございます」


 ロザリナに促されて大銀貨3枚を受け取り去って行った。


 なんだろう?

 俺より年上のトルシュに上から目線で接するロザリナは普段よりかなり大人に見える。


「何故かしら? ツトムさんが倒されるのを見ていると妙な気分に……」


 ルルカよ、その感じ方は危険だ!!





……


…………




「おはようございます」


 翌朝起きると相変わらず既にルルカは起きていた。


「ンッ……」


 抱き寄せて濃厚なキスをしているとロザリナも起きる。


「ツトム様、おはようござい……んっ」


 やや強引にロザリナにもキスをする。

 いつも通り始めようとすると、


「今日はこの後でメルクに行かれるのですし自重されたほうが……」


「そ、そうですよ。大事な昇格試験の前なのですから」


 と、2人から控えるように言われてしまった。が!


「問題ない」


 何せ昨日は風呂場で軽く気持ち良くなっただけで、訓練の疲労からベッドではすぐに寝てしまったのだ。


「仕方ありませんね。ロザリナ、私達で……」


「わかりました。ツトム様、こちらに横になってください」


 2人で横になった俺のTシャツもどきとパンツを脱がしていく。

 朝一で元気になっているが、手慣れた感じでパンツを脱がされた。


 ルルカが寝間着を脱いで俺に覆い被さって来た。

 今度はルルカのほうから俺にキスしてくる。

 丁寧且つ優しく俺の舌と絡ませてくる。


 ロザリナは下半身に回り俺のを手で撫でている。

 俺の足にロザリナの体が乗って来た時、


「っ!? ロ、ロザリナ、やめなさい!!

 そこ、汚い……」


「ツトム様が常に綺麗にしてくれていると御自身で仰っていたではありませんか」


「だからと言ってそんな……あっ……」


 ロザリナが何をしているのか、この体勢ではよく見えない。

 頭を起こしてルルカの背中ごしに覗こうとしたら、


「だめっ!」


 強引に抑え込まれてしまった。


「はぁ……はぁ……ぁ……あっ……」


 耳元でルルカの荒い息遣いとそこに混じる声が聞こえる。

 下半身から微かに聞こえて来る音でロザリナが何をしているか察した俺は両手を伸ばしてルルカのお尻を左右に広げた。


「や!? ツトムさん、そんな、広げな……

 ロザリナ! そんな深いとこ……んっ、だめ、よ……」


 ロザリナは俺のをルルカのに導く。


「んんっ!? やっ、ダメッ、、あっ……ああ……」


 ルルカが俺を強く抱き締めてくる。


 ロザリナがようやくルルカの下半身から顔を離し顔を近付けて来た。


「さぁツトム様、下から動いてください」


「私、さっきのでもう……」


「ツトム様はまだ満足されていませんよ。

 そして私は今度は指を使ってルルカさんのを……」


 俺とロザリナは同時に動き出した。


「両方一緒になんて……ダ……ぁ、あんっ、いやっ……」


 朝の寝室にルルカの感じる声だけが止まずにずっと続いた……





 現在メルクの北門から冒険者ギルドに向けて歩いている。


 あの後、逃げるように速攻で家を飛び立った。

 しかし飛行中に落ち着いて考えてみると、オイタしたのは昨日から調子乗ってるロザリナであって俺ではないことに気付いた。

 逃げることはなかったのだが……まぁ、別にいいか。


 ギルドに近付くと表の入り口近くでグリードさんとそのパーティーと思わしき3人がたむろしているのが見えた。


「グリードさん、おはようございます」


「ツトム、来たな」


「わざわざ表で待っていてくれたんですか?」


「外で待つついでにだな。

 今ギルドの中は朝の混む時間帯で人で一杯だからな。

 俺達はここでは部外者だから邪魔にならないよう表で待機していた訳だ」


「なるほど」


 話している最中もギルドの建物には冒険者らしき人の出入りが激しい。


「ツトム、この3人が俺のパーティーメンバーだ」


「5等級冒険者のツトム、魔術士です。今日はよろしくお願いします」


「シビックだ。よろしくな!」


 20代前半の剣士だ。軽装備で盾は持ってないようなので回避型だろう。


「モイヤーと申します。よろしくお願いします」


 30歳ぐらいかな? グリードさんのパーティーの中では最年長ぽいけど何故だか丁寧な言葉遣いだ。

 ただ職業がよくわからない。持ってる武器はメイスかな?


「ナタリアよ。よろしくね」


 20代の中盤の女性剣士だ。女性ではあるが大柄な体格で大きな盾を持っている。


「皆さん前衛職なんですか?」


「モイヤーは戦闘スタイルは前衛タイプなんだがパーティー内では後衛だよ。ヒーラーだからな」


 おぉ。回復職は初めて見たよ。

 人のことを言えた義理ではないけどよくパーティー活動するのを承認されているな。

 軍でも冒険者ギルドでも回復魔法の使い手は貴重なので危険な場所には絶対に出さないのに。


「なぜヒーラーがパーティー活動できているのか不思議か?」


「え、ええ。

 すいません。込み入った事情であるのなら……」


「ハハハ。そんな大した事情ではないし城内ギルドでは結構有名な話しだ。

 モイヤーは回復魔法を、というか魔法自体を使えるようになったのがほんの数年前の、言ってみれば遅咲きの魔術士なんだよ」


 何それ!?

 なんかカッコいい響きだぞ。


「冒険者になって10年経ってから魔法が使えるようになりましたので、以前のままパーティー活動を続けることができています」


 ひょっとしてレベルアップしたから魔力やMPが増えて魔法が使えるようになったのかな?

 それならベテランは皆魔法が使えてないとおかしいよな。

 何かの拍子に回復魔法のスキルに目覚めたのだろうか?

 自分自身の魔法習得の為にも詳しい話を聞きたいのだが、さすがに初対面で突っ込んだこと聞く訳にも……










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 皆様の後押しで是非とも読者選考を突破させて頂きたくよろしくお願い致します!!

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