(二)-5

 翌日、益田は再び役場へ来た。もちろん、デイサービスの利用者のお迎えをした後だ。

 住民福祉課の窓口の前の、番号札自動発券機から、紙を一枚引いた。

 益田は窓口の前に数列並べられているベンチの端に座った。反対側の端にはハンチング帽を被った、小柄な高齢の男性が座っていた。

「あんたのところも、補助金目当てでっしゃろ」

 益田が座ると、その小柄な男が尻を横に動かしてベンチ上を移動し、益田に近づいて話しかけてきた。

 金目当てな言い方に少し腹が立ったので、益田は男の方を見ずに「ええ、まあ」とだけ答えた。


(続く)

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