#7

回転式の天蓋がゆっくりと回り、濃紺にダイヤを散りばめた側へと変わる。肉を焼くほどの暑さは消え、今は天蓋に瞬く星々のようにきんと冷え切っている。

何処から来て何処へ往くのか。

月明かりの向こうを旅の一団と駱駝のシルエットが歩んでいった。

夢の粒は足元の砂ほどにも、星々の数ほどにも。

掬えば手のひらから零れ落ちる夢の粒。

自由に夢を見よう、幾千幾億の夢を見ても咎められる事はない。

月が口元をつり上げた。



太陽と月が機械仕掛けのぜんまいの音をたてながら天蓋をくるくると入れ替える。キャラバンの影は早送りで巻き戻り、風は吹いた場所に消えていく。

全く時間ほどいい加減なものもない。

熱い日差し、氷のような夜を幾度となく巻き戻した場所にあるのは。

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