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突如笑い出した黒髪の男・・・・・・ジョウノウチサンに男達が戸惑ったように恐る恐るといった感じで声をかける。
「いやっ、ごめんごめん・・・・・・くっ・・・・・・お前らが、猛獣と猛獣に見つめられて動けなくなった、しょ、小動物みたいで・・・・・・っ」
ジョウノウチサンはまだまだ笑いが止まらないようで、目尻にたまった涙を拭いながらまだひぃひぃと言っている。
奇しくも、彼らの名前を知ってしまったわけだが・・・・・・まぁ聞かなかったふりをしておこう。
絶対に知らない方がいいと思うんだよね。
いや、それにしてもこの男笑いすぎじゃないか?
ちらりとジョウノウチサンを見ると、彼はまだお腹を抱えて笑っている。
目の下に飼ってる大きいクマといい、彼は寝不足であ球のネジが2、3個緩んでるんじゃないかな。
「・・・・・・小動物じゃなくて珍獣だろ」
「ひぃっ・・・・・・っ・・・・・・」
哀れみの気持ちを込めてジョウノウチサンを見つめていると、銀髪の男、サクマサンがボソリとつぶやいた。
それを聞いたジョウノウチサンは、収まりかけていた笑いがぶり返した・・・・・・というよりは、ひどくなったようで、
近くにある机をバンバンと叩きながら声にならない声をあげて爆笑している。
いや!待ってめっちゃ失礼じゃないか⁉︎
20代の女子に珍獣って・・・・・・そりゃ今の見た目は連勤残業終わりでボロボロだし、可愛くないだろうけど、珍獣はひどくないか!
何、さっきのタバコ吸うの止めたからその仕返しか?絶対そうでしょう⁉︎
クソっと思いサクマサンをキッと睨む。目が合うと彼はふっと鼻で笑って手に持っていたスマホでどこかに電話をかけ始めた。
「え、佐久間さんが・・・・・・」
「嘘だろ・・・・・・」
私と一緒にサクマサンを見ていたらしいいかつい男達は、何やら驚きの声をあげてと惑ったようにお互いの顔を見合わせている。
なになに?なんかおかしな事あった?
私には全くわからない。
イカつい男達がソワソワしている様を見ると、こちらもついついソワソワしてしまってキョロキョロと視線をあっちこっち動かしてしまう。
サクマサンはこちらに背中を向けてまだ電話中、ジョウノウチサンは笑い死んでいるので使い物にならず、床はこれだけ騒いでる(ジョウノウチサンが)のに起きる気配を全く見せない上司。
今この状況、上司が一番羨ましい。
私も気絶したらこの状況から逃れられるかな。
いや、もしかしたら永遠の眠りとかになっちゃたり、起きて知らない場所だった怖いしなぁ。
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