第10話 白間 美希と少女の因縁
遠くの方でパトカーのサイレンが鳴り
親友の
そんな憂鬱な感情を抱えて歩いているうちに家の近くまでもう辿り着いている事に気づき、ふと隣の家の黒戸家の玄関前に目をやると、そこに誰かが立ってこちらを見ているのが目に入った。
「あら……美希さんじゃなくて? こんばんわ」
黒戸家の玄関前にいた人影がこちらに向かって近づきながら話しかけてきた。
「えっ!?」
美希は自分の名前を呼ばれ驚きチラッと声をする方に顔を向ける、そこにはこちらに向かって歩いてくる綺麗な
「んっ……? あっ……!? も、もしかして
美希は驚いた顔で問い返す。
「だ、誰があかちゃんよ! く・れ・な・い、
紅は呆れた顔で溜息をつく。
「ご、ごめん、つい昔の
美希は彼女を見た時に直ぐには
「お
紅は軽いお
「ところでお
「えっ!? あっ……た、たぶん今晩は少し遅くなるんじゃないかな……たぶん」
美希は睨まれている事もあるが、とても
『今は……』と言う言葉を使ったのは、それは昔は二人とても仲良くそれこそ白、紅、美希で毎日遊ぶ仲だった、だが過去にあった一つの事件をきっかけにそれぞれの仲は
「あの……
美希は過去の事を、紅にも謝らないといけない思いがこみ上げ、深く紅に頭を下げて謝罪した。
「美希さん……美希さん、突然謝られても
紅の口調はとても
「そ、それでも私は
美希は
「『も』ってなんですの? 私に『も』って言い方だと、白お兄ちゃんにも謝ったって言い方に聞こえるのだけれど? 私としてはもう白お兄ちゃんに関わって欲しくないのが正直な感想ですが……三人仲良く? どの口が言うのかしら」
「し、白に謝ったていうかね……白から、こう両手で……私を抱きしめて『大丈夫、大丈夫、分かってるから』って抱きしめてくれたから……だから……」
美希は
「あん! 抱きつかれた? はぁ!? 私に対しての自慢かしらね美希さん? よくもまぁ、平然と私のお兄ちゃんを
額に血管が浮き出るんじゃないかという
「ち、違うんだよ
美希は手振り、身振りを交えながら、
「『想って』だぁぁ? 誰が誰を想ってだクソ
そんな平行線なやり取りを繰り返してると、美希のスマホに一通のメールが届いた音が鳴り、
「ん……? あっ! 礼子からだ、無事だったのかな」
そんな事を言いながらメールの内容を見ると、美希は一瞬何が書いてるのか理解するのに数秒かかり、その場に腰から力が抜けると地面へと座るように崩れ落ち。
「うあぁぁぁぁぁぁぁ!」
美希は涙を流しながら夜空に顔を上げ大きな叫び声をあげた。
メールには件名は無く、『美希どうしよう、あのね黒戸、うちの同じクラスの黒戸が助けにきてくれたんだけど、刺されて、何十箇所も刺されて、血が大量に、今桜ヶ丘中央病院に搬送中なんだけど、わたしどうしたら』と書かれていた。
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