第12話 鹿賀青

住宅街から離れ、町明かりが見えなくなった所でようやく原則し始めゆっくりと地面に足をつけることができた。そこは薄暗くじめじめした地下水路だった。なぜこんなところに来たのか凌はわからないまま、あたりを見渡していた。

「もー遅すぎ!現役JKをこんな所で待たせないでよ」

人気が全く感じなかったにも関わらず、背後から突如メアリーとは違った甲高くも柔らかな声が聞こえてきた。後ろを振り返り、凌は驚いた。

「鹿賀青(かがあお)!?」

「ん?君誰?」

「なによ、二人とも知り合いなの?」

凌の目の前に立つ彼女は、同学年だけでなく高校全域に知らないものなどいない存在である。その可愛さ、そのコミュ力、その魅力に全学年、そして教師にも人気である。

「知らないわよ。ていうかその制服、うちの学校!?」

青はメアリーの隣でたたずむ青年の来ている服を凝視する。そして、その制服からその青年が同じ高校の生徒だと気づいた。

「はぁーもう最悪なんだけどっ!よりによってなんでうちの生徒なのよ」

青は面倒くさそうに溜息を吐き、改めて凌を見つめる。

「君名前は?」

「成瀬凌です。二年三組です」

「フーン、二年ってことは後輩ね」

青の言う通り、二年の凌は三年生である青の後輩にあたる。そのことを知っていた凌は反射的に敬語で名乗っていた。

「もう知っていると思うけど改めて、私は三年二組の鹿賀青(かがあお)。現役JK、そしてそこにいる純血種メアリー・ブラッドの眷属よ」

青が名乗ったその事実に、凌は驚き唖然としていた。そのリアクションを見て、青は疑念を持ち凌の隣に立ち目をそらしている君主、もといメアリーをジト目でとらえた。

「ねぇ、メアリー。この後輩君にはどこまで話しているの?後輩君は何経由でここに至ったの?」

青の質問に無言で答えるメアリーを凌は見て、不安の情が沸き上がる。一体何の話をしているのだろうかと。そんな凌を横に、メアリーは両者から目をそらして、カタコトに早口で言い訳を語るように、答えた。

「……まだ何も話してません」

「ええぇ!?」

メアリーのあっけない返答に、青は驚きを隠せずに両目を広げた。途端、青はメアリーの首根っこをつかみ、その軽いからだを引っ張り上げて凌に聞こえない場所に移った。

「ちょっとどういう意味?」

「これには少し事情があるのよ……」

それから数分、メアリーは困惑している青に対して、凌への遠慮なしにこれまでの経由を語った。

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