第2話 キャラメイキング ①

気がついたら真っ白な空間?にいた。

そして目の前には一人女性がいて、彼女から声を掛けられた。


「ようこそ、来訪者様。私はあなたのキャラメイキングとチュートリアルを担当するサポートAIです。」


えっ?! 一人一人のプレイヤー毎に担当者が違うの?

…っていうかサポートAIってどういうこと? こんなにリアリティーあるのに、彼女はAIってこと?


「…えぇっと、私の担当っていうのはどういうことでしょうか?」

「このゲームでは「マザー」と呼ばれる無数の高度な並列処理を可能とした学習型の高性能AIを搭載しているのですが、その「マザー」が分割してプログラムされた一部の高性能AIがプレイヤーのサポートAIとして、キャラメイクやチュートリアル等をさせていただくことになりました」


へぇ~そうなんだ、ん? つまり「マザー」っていうAIは集合型AIでもあるってことだよね? 慣用句でいう「一にして全」ってやつをAIという形で体現させた感じなのかな?


「そうでしたか、教えていただきありがとうございます」

「どういたしまして、このくらいなら全然問題ありません。ところで、来訪者様のお名前は何でしょうか?」


あ、そういえば話が脱線しかけてた。危ない危ない、気を付けなくっちゃ。


「えぇっと、名前はシルヴィアです」

「シルヴィアですか…いい名前ですね」

「そうですか、ありがとうございます。ところで、あなたの名前は?」

「名前? 特にありません。強いて言えば…ウィンディーネでしょうか?」

「ウィンディーネ? つまり、あなたは水の精霊なんですね。でも、それじゃあ名前っていうより種族名って感じで呼びづらいから、名前を付けさせてもらってもいいですか?」

「えっ…いいんですか!? ありがとうございます!! さすがにこの名前?はどうかと私も思っていたんです!!」


どうかと思ってたんだ…。まぁ、そりゃあ気にもするか…種族名兼役職名みたいな感じだもんね(苦笑)

…というわけで、サポートAIさんの名前を付けることになったが、参考として種族以外にも外見も考慮して考えることにした。

彼女の容姿は、海を連想させる原色に近い青の髪とサファイアのような瞳、そして巨乳とは言わずともそこそこ大きめな胸と、そこそこ大きめな尻etc...といった感じの中々セクシーなスタイルである。

正直、リアルの私より胸もお尻も大きいし腰もキュッとくびれてて、セクシーなスタイルだからちょっと羨ましい。

まぁ…幸いにも私は貧乳とか壁って呼ばれる程ではなかったから、嫉妬する程のものではないけどね。

服装はドレスのような衣装で、その色はこれまた海を連想させる色ではあるが、こちらはグラデーションが入っており、上の方は濃いめの青い海色で、下に行くにつれて明度と彩度が高くなっている。さらに、ヘアアクセサリーとネックレスを付けていて、どちらも雫型のものとなっている。

彼女の容姿と服装やアクセサリーとが組み合わさって神秘的な雰囲気って感じ!!

やっぱり精霊っていうだけあるってことかな?


「ん~、青で精霊ならやっぱり水でしょ。色的には海って感じだからアクア。…って、さすがにこれは安直かなぁ…。あ、そうだ!!海は英語で “sea《シー》„ って言うでしょ、それをちょっと捻って…「シーア」っていうのはどう?」

「いいと思います、本当にありがとうございます。実は「ウィンディーネ」って名前?を付けたのは、運営の方々なんです。彼ら、腕はいいんですが、ネーミングセンスは皆無でして…。」

「そっかぁ…それはご愁傷様。」

「あ、そういえば!! これを渡し忘れてました」


えっ…渡し忘れてたって何のこと??


『称号【シーアの名付け親】を獲得しました』

『称号【最初にサポートAIの名付けをした者】』

『称号【最初にキャラメイクで称号を獲得した者】を獲得しました』


えっ、まさか…。


「あの、渡し忘れてたっていうのは…?」

「称号のことです、受け取れましたか?」

「え、えぇ…受け取れましたと思います。それって、多分【シーアの名付け親】、ですよね?」

「そうです、それです!!」

「そうですか。…それと、後の二つは…?」

「あぁ、それはシステム上の判定による称号です。称号についてはチュートリアルの時にご説明いたしますので、もうしばらくお待ちください。…あ、そういえば!! サービス開始までの残り時間は…大変!! サービス開始までリアル時間であと20分しかありません!! 少し急ぎましょう」


えっ…もうそんなに時間経ってたの!? 確かに少し急がなくちゃね。


「あ、でもそんなに急ぐ必要はないと思います。大体外見とオリジナルスキルは考えてありますし」

「それは安心しました、助かります。でも、他の来訪者様たちは、そんな事前準備できていないようですが…」


えっ…そうなんだ、ちょっと意外。私みたいな人って、ゲーマーとかファンタジー好きな人なら結構いると思ってたのに…。ちょっと残念だなぁ…。


「実はすごく楽しみにしていて、待ちきれなかったんです。それに…想像力っていうか妄想力?には自信あったので、つい… (照)」

「フフッそうですか、それは楽しみです (苦笑)」

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