13.5話 蓮と凜

「うぇぇ凜…… 腹痛いよ……」

「調子乗って食べまくるからだよ……

 毎回こんな感じなんだから反省しなさい!」


 咲ちゃんには友達のところに――――――

 何て言ったものの結局蓮のことが気になって様子を見に来てしまった。


 ふと、昔のことを思い出す……


「こら! おまえらなにしてんだ!」

「めんどくさいやつがきたな……

 みんなにげろ―!」


 私と蓮との出会いはあまり好ましいものではなかった。

 

 私は生まれつき茶色い髪だったから、小学校の時、みんなに悪口を言われたり、いじめられたりしていた。

 そんなことが毎日続いていたある日、たまたま蓮が通りかかった。


 そうして蓮が助けてくれた。

 その頃の蓮は、喧嘩ばかりしてて、近所でも有名な人だった。

 だから私も最初はとても怖かった。

 でも……


「どうしたの? おれ、そんなにこわい?」

「だってけんかばっかりしてるんでしょ?」


「おれだってかってにけんかしてるわけしなないんだよ? そのこがよくないことをするからおれもけんかしてるんだよ」


 小さい頃の私には正直よくわからなかった。

 でも、この人は周りの人が思っているような悪い人じゃないんだなとは思えた。


「わたしのことをきもちわるがったりしないの?」

「そりゃあしないよ?

 むしろかっこいいじゃん!」


 そして、私の事を唯一褒めてくれた。

 もちろん親以外では、そんな経験は初めてだった。

 私に、唯一の友達ができた。


 最初は親も蓮のことを警戒していたみたいだけど、途中からはむしろ歓迎していた。

 凜が喜んでいるのは久々に見た、ありがとうと。


 そうして小学、中学と蓮のおかげで無事に乗り越えられた。

 ちなみに告白は蓮からだった。


 だが、そんな甘くないのが現実。

 もともと私も蓮も頭はあまり良くなかったのだが、蓮が上の高校を目指すと言い出した。

 

 私は蓮と一緒ならどこでもいいか、という短絡的な考えだったため、蓮の学力に追い付けなくなっていった。


 そんな中でも、蓮は私の事を見捨てないでいてくれた。

 自分の時間を割いてでも、私に勉強を教えてくれた。 励ましてくれた。


 そうして私達は同じ高校へと行けた。

 高校が始まってすぐ、もう二人友達ができた。


 一人は咲ちゃん。

 おとなしく、クラスのアイドルのような存在だった。

 最初は関わりづらかったため、蓮とばかりいたのだが、ある日とある質問を受けた。


「好きな人と付きあうのってどうすればいいんですか……?」


 おそらく私達が付きあっていることはみんな知っていたため、私に頼ってきたのだろう。

 その時、この子とは仲良くできる。

 そう感じることができた。


 それで、私は咲ちゃんと仲良くなれた。

 まあ、まさかあんなに暴走するような子だとは思ってもいなかったけど…… 


 もう一人は佐藤くん。

 咲ちゃんの好きな人だ。

 

 当時、蓮と仲良くなっていたからすぐに仲良くなれた。

 とても優しく、仲間思い。

 自分が犠牲になるようなことでも構わない。

 偽善ではなく、本当に行動していた。

 

 (三日月さんにはピッタリ……

 なんとしてでも付きあわせなくちゃ……)


 三日月さんと結びつけるために、一人こそこそと頑張った。

 その努力は三日月さんパワーで水泡に帰したけど……

 まあそれもよし!


 どれもこれも蓮のおかげだ。

 全部、全部蓮のおかげ。


 だから、次は私が蓮を助ける番。

 隣にいて、困ったらなんでもする。

 そうして私達は進んできた。


「おーい凜? 大丈夫か?

 なにやらボーっとしていたが……」


 その声で私は現実に引き戻された。

 おそらくもう治ったのだろう。


「ああ、ごめんね。

 蓮はもう大丈夫?」

「もう元気だ!

 むしろ腹が減ってきた」


 これが蓮と私、2人で歩んできた道だ。

 感謝してもしきれない。


「ありがとうね、蓮…… チュッ」

「ちょ、おま、誰かに見られたらどうする!」

「ちょっとぐらいならいいじゃーん!

 人いないところまで来たんだからさー!」


 これまでも、これからも。

 私達は2人で歩んでいくつもりだ。


 

 ちなみに、2人で一緒に帰ってきたため散々からかわれた。



――――――――――――――――――――

 


 布団の中で、ふと目が覚めた。

 冬だというのに、体は高揚している。

 おそらくさっきのキスだろう。


 ―――――ったく、凜のやつ。

 今日が3周年って分かっていたのか?

 まあでもないと積極的にはならんか……


 凜には伝えていないが、小学校の時、いじめられていた凜を見つけ出したのは偶然ではなかった。

 

 いじめられているという噂は聞いていたため、少し探し回っていたのだ。

 

 小さい頃ヒーローに憧れて、人を助けたいと思った。

 そんな時、凜のことを知った。


 なにやら普通とは違う髪の色で、めちゃくちゃ可愛いと聞いた俺は、すぐにアプローチしようと思っていた。


 (まあ、あんな感じで関わりを持つとは思ってもいなかったけどな……)


 凜はおそらく気づいてもいないだろう。

 俺だってどれだけ凜に助けられたか。


 だからこそ、凜に尽くすと決めた。

 例え誰かから何を言われようと、俺は凛と共に進んでいくと決めた。


「ありがとうな、凜」

 

 これまでも、これからも。

 俺達が2人で歩めるよう努力するまでだ。


 

――――――――――――――――――――



 お読みいただきありがとうございました!

 本日2話目です!

 投稿5分前に書き終わったので、誤字があったかもしれません。 すいません。


 みなさんは蓮と凜のような関係に憧れますか?

 私は憧れまくっています。


 恋人ながらも友達のような……

 二人の絆が壊れることはないでしょう。

 

 そこも、現実とは違うラノベの世界だからこそです。

 現実では実現出来ないようなことでもなんでも出来る。

 なんて楽しい世界なのでしょうか。

 

 でも私達は現実から目を背けることは出来ません。

 毎日毎日、楽しいと思える出来事がみなさんに起こることを願っています……


 

 なーんて暗い空気になってしまいましたが、これからもこのお話は続いていきます。

 私に平行して物語を書く力なんてないので、この話一本です。

 お楽しみに!

 

 次回もよろしくお願いします!




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