憧れるということ

大好きな歯医者さん、白瀬先生のクリニックには院長室がある。

院長室、とてもかっこいい。

中には何があるのだろう。


「先生、院長室に入ってみたいんだ」


先生は笑顔でうなずいた。


「来なさい。今日は特別だ」


ドアを開けた先生の背中を僕は追って入った。

立派な机と椅子が置いてある。

壁には油絵とカレンダー、そしてポスターが貼ってあった。


「先生、この人たちは誰なの?」


先生は遠い目をしている。


「メタリカっていう人たちで、先生の青春だよ。ずいぶん憧れたものさ」


憧れの人のポスターを貼るなんて、いつもの先生らしくないなと思う。

僕はとなりの小さなポスターを指差した。


「この人は誰?」


先生は声をふるわせてこたえてくれた。


「セ、セクシー女優だ」



〜青春の恋心は割とエロい〜

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