第20話 遺跡フロア
-side エリク-
「おおー。これはまた……なかなか」
3階層についたエリク達が見たのは、古代文明の資料でよく見るような建物が立ち並ぶ遺跡フロアだった。
『といっても、石でできた建物ばかりのエリアってだけだけどね』
「お主……それ、古代文明の跡地観光してる時に1番言ってはいけないセリフだぞ」
“我もこのエリアはつまらん。なんせ……”
ルークがそう言った瞬間に前方からゾンビが来た。
ウウウウウウ……。
“……!!”
目にも止まらぬ速さで、ルークは後ろに飛び退き、トールの後ろに隠れた。
「ん?隠れた?まさか、ルーク。怖いの?」
“こ、怖くはないのだ!ただ、不気味で気味が悪いというだけだ。”
「それは、結局怖いのと同じなのではないか。全く。フェンリルともあろう者がけしからん。[ドラゴンブレス]」
トールがそう言うと、口から勢いよく青みがかった光が出た。
ギャァァァァァー!!
ギャァァァァー!!
ギャァァァー!!
ギャァァー!!
あちこちから、声が鳴り響いている。
「……。遺跡まで同時にこわすのは、流石にやりすぎだろうな。周りを見渡す限り、明らかにオーバーキルだと思うんだけど」
「す、すまぬ。つい加減を間違えてしまってな」
トールはすごく誤った。
「……。歴史的に文化財を目の前で破壊された気分ってこんな感じなのか。なんで、世界遺産っていうシステムがあるかなんとなく分かった気がする」
“そ、そんな話よりもうおば……いやアンデッドはおらぬのか”
今、明らかにオバケはいないのかと言いそうになったとその場にいた皆が気づいていたたが、言わないで大人な対応をしたのは偉いと言うべきだろうか。居心地が悪そうにしているルークにとってはむしろ、いじった方が良かったのかもしれないが。
『うん。もうあとは、エリクが残党アンデッドを狩って、ボス部屋行って終わりだね』
“よしっ!エリク!奴らを、1匹残さず殲滅するのだ。分かったな!1匹残さずだぞ”
「(なんだろう。いつもはかっこいいって思うルークが少し可愛く思えてきたって言うか)分かった」
エリクは優しい目をルークに向ける。
“な、なんだその生暖かい目は!いいか、我はやろうと思えばあいつらなど一瞬で殲滅できるのだぞ”
『はいはい。全く。よくそんなんで最下層まで1匹でいこうとしたよね』「全くだ」
“グゥ……”
レオンとトールの容赦ない発言は効果抜群だったようだ。
流石のルークも押し黙って、それ以降無言で着いてくるようになった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その後、エリクはルークの言う通りに出来るだけ敵を殲滅させながら進むことにした。
「あれ?なんかさっきから同じ道をぐるぐると回ってない?」
「そうだな。そういえば、このフロアは迷路になっていた記憶があるのう」
“お、おい。そんなことよりも早くなんとか突破できないのか?”
『うーん。確か、巨大迷路を突破する鍵みたいなのがあればいいんだけど。今のところ見当たらないなあ』
「巨大迷路の鍵か。それは難しいな。空を飛ぶのが手っ取り早い気もするけど」
「そうだな。それが良い。前回我も空を飛んで突破したぞ」
『……。はー。君たちたまには、正々堂々とダンジョンを攻略する気ない?そんな邪道な突破方法じゃなくて』
「ない」「ないな」“それより早くしろ”
『……はあ。諭した私が馬鹿だったよ。私は悲しい』
「言ってろ」“どうでもよき”
そんなことを話しているとエリクはあることに気づいた。
「あ、そういえば。[検索]“今いるダンジョン 3階層 ボス部屋への行き方”出てきたか」
『……。それ以前に、君にそのチートすぎる能力を与えたノートに一言言ってやるべきだったね』
「まあ、いいではないか。お陰で、サクサク見つかりそうではあるし。お、ここを壊せば良いのだな」
「ああ。リッチが出るから気をつけて」
「ふっ。そんなもの。我の敵ではないわ」
トールが危なげなくリッチを倒すと、無事に鍵をゲットすることに成功した。
『何このメンツ。流石にパワーバランスおかしくないのかね。チートすぎると言うか。魔王も泣いて逃げるレベルなんだけど』
何やらレオンには思うところがあるらしく、それからもぶつぶつ言っていたようだが、ボス部屋にたどり着いた。
「ここか」
「ボコボコにしてやろう」
『ほどほどにね』
「俺も、全力で頑張る」
“部屋が開いた瞬間、最上位魔法を叩き込むからな”
『だから。みんなほどほどにね!ダンジョンを壊さないように!』
経験者は語ると言ったところだろうか?
しっかり、フラグを立てて突入し、無事にボス部屋を破壊して進んだ御一行であった。
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