第10話 地獄の縁に輝く明星の光
堕天使とは
旧約聖書中、堕天使として「ルシフェル」の記述が「イザヤ書」14章12-15に記されている。
「黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。
もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。
あなたはさきに心のうちに言った、
『わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果なる集会の山に座し、雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう』。
しかしあなたは陰府に落され、穴の奥底に入れられる。」と
ルシファー とは、明けの明星を指すラテン語であり、光をもたらす者という意味をもつ悪魔・堕天使の名である。
キリスト教において、堕天使の長であるサタンの別名であり、魔王サタンの堕落前の天使としての呼称である。
しかし、ルシファーは本当にサタンなのか?
健人は地元愛媛に戻っていた。
詩織が突然消え去ってから、既に6年の歳月が過ぎていた。
その間、健人は詩織を忘れる為に学業に打ち込み、東京の一流企業に就職しても、直向きに仕事に没頭し、1年目から頭角を現していたが、詩織と英一への嫉妬により、堕落した生活に陥ってしまい、今は堕天使の如く、実家の自室にひっそりと佇んでいた。
実家の両親は、父親は営林署に勤めており、母親は専業主婦であった。
両親は健人が愛媛に戻ることを当初は反対していた。
特に父親は、健人の未知なる能力を感じていたため一流企業を辞めることが非常に勿体ない事だと思い、健人が会社を辞めると報告した時、父親は健人に対して、
「組織とはそういうものだ。お前はまだ若い。いくらでも這い上がれる。短気を起こすな。短気は損気となる。」といった文をしたためた手紙を寄越していた。
一方、母親は健人の身体を心配し、特に重度のうつ病を発症していることを知ってから、あの子は死んでしまうのではないかと気を留め、
「健ちゃんは東京の水が合わないのよ。健ちゃんの家はちゃんと愛媛にあるんだよ。いつでも帰ってきてね。待ってるからね。」といった内容をLINEで送信していた。
健人が実家に戻り1週間も経っていない、ある日の夕食時、健人と父親は酒を酌み交わしていた。
健人の父親も酒好きで、健人が一流会社を辞めたのは残念で仕方なかったが、こうして一人息子と一緒に酒を飲むことはとっても嬉しかった。
父親が健人に言った。
「お前はまだ若い。それにお前の能力、学歴が有れば、この愛媛でも十分やっていけるさ。」と
健人は父親の話を微笑んで聞いていた。
母親が言った。
「お父さん、まずは健ちゃん、身体直すのが先よ。焦らせては、駄目ですよ。」と
すると父親が母親にこう言った。
「うつ病なんて、気の持ちようで良くなるんだよ。人生、苦しい時があって当たり前だ。それを乗り越えてこそ、男というもんだ!」と
父親はかなり酒が進んでいた。
母親は何も答えず、健人の方を向いて、「困ったものね」と言うかのように苦笑いした。
それからは、父親が喋り続けた。
普段は無口な父親がこんなに口数が多いのは珍しかった。
「健人、公務員試験、受けてみろ!お前なら絶対通るよ。お前は営利的な民間企業より公務員があってる。少し試験勉強すれば必ず受かる。市役所でも県庁でもいいから、受けてみろ!」と
健人の将来を案じていた父親は焦るように喋り続けた。
健人は「うん」と頷くだけで、その話には乗ろうとしなかった。
2時間ぐらい飲んだ時、母親が締めの「鯵のリュウキュウ茶漬け」を出して来て、健人にこう言った。
「お父さんねぇ~、健ちゃんが帰ってくるからね、先週、鯵釣りに行ったのよ!
健ちゃん、鯵のリュウキュウ大好物でしょ。」と父親を見遣りながらそう言った。
父親は満足気に「健人、ほら、食え!」と嬉しそう言った。
健人は旨そうにリュウキュウを食べた。
そして、父親に何気なくこう言った。
「親父、まだ、船釣りしてるんだ。」と
父親は何も言わなかったが、母親が代わりに、「相変わらずよ。」と健人に言った。
健人は父親に言った。
「俺もまた船に乗りたいな。親父、今度、連れてってくれよ!」と
その時、父親の目が座り、健人に言った。
「無職の者は、連れて行けない。」と
健人は箸を置き、父親に言った。
「親父、俺は組織が嫌なんだよ!民間も公務員も縦社会は同じだ!
公務員試験なんか受けるつもりはない!」と
親父は驚き、健人に怒鳴った。
「なら、お前はこの先、どうするつもりなんだ!
このまま、無職で良いのか!」と
健人はその問いには答えず、ただ、こう言った。
「長いものに巻かれる事が嫌なだけさ。」と
父親は真っ赤な顔をし、健人を睨んだ。
父親は健人のその言葉は自分を示しているように感じた。
父親は愛媛の山奥で椎茸栽培を営む家に生まれ、高校卒業後、営林署に入所した。
営林署も縦社会の公務組織であった。
どんなに頑張っても、霞ヶ関の農林水産省のキャリアの若造が杉の枝打ちも知らない奴らが、自分の上司となり、本省の言うがままに、現場を混ぜくる。
奴らは2、3年で霞ヶ関に戻ることしか考えてない。
父親はその若造達の下で40年近く、頭を下げ続けた、家族を養うために。
父親は急に立ち上がり、健人に
「働かない奴はこの家から出て行け!」と怒鳴り、席を断った。
健人は母親に言った。
「家出るよ。」と
母親は健人に言った。
「健ちゃん、この家出て、何処に行くのって言うの?」と
健人は言った。
「爺ちゃんの処に行くよ。」と
父親の実家は愛媛県と徳島県との県境に位置する山奥の集落にあった。
父親の実家は、祖父が1人で暮らしていた。
祖父は70歳を過ぎていたが、健康であり、1人で椎茸栽培、田んぼ仕事をこなしており、また、集落の自治会長でもあり、その地域の猟友会の会長も務めていた。
祖父は父親と違って、話好きで気さくな性格であった。
健人がまだ小学生の頃は、夏休みは祖父の家に滞在し、祖父からイワナ釣、山菜採りといった山遊びを教えてもらい、秋になると、山芋堀、きのこ狩り、時には鹿狩りにも連れて行ってくれた。
祖父と父親は疎遠状態であった。
父親は営林署という山の職業を選択したが、次第に仕事と日常の現場が重なることを嫌い、父親は長男であったが、10年前、実家を離れ、海沿いの町に家を構えた。
それからは、父親は盆も正月も実家に姿を見せることはなかったが、祖父を1人残して来たことは気にしており、健人が実家に遊びに行くことには反対するどころか、喜び、実家近くまで送り迎えをしていた。
祖父は健人と一緒に生活できることを非常に喜んだ。
息子は戻ってこないが、その先の将来は健人が家を守ってくれるような気がし、椎茸栽培から杉の枝打ちといった山の手入れも教え始めた。
健人も会社組織、現代社会の陰険さ、そして、詩織の残像を消し去るためにも、この人里離れた山奥での山仕事が好きになっていった。
そんな生活を送り続け、季節は初夏から晩秋に移り、暦は11月となっていた。
11月初旬のある夜、祖父と健人は囲炉裏を囲み、今日、2人で獲ったイワナを焼きながら、酒を酌み交わしていた。
祖父が徐に立ち上がり、座敷の天井裏から一挺の散弾銃を持って戻って来た。
健人は祖父に言った。
「明日から猟が解禁になるね。」と
祖父は頷きながらこう言った。
「この銃はお前の父親のお気に入りでなぁ~、彼奴は猟が始まると、いつも飯を食いながら、コイツを磨いていたわい。」と
健人は祖父にこう聞いた。
「親父は猟は上手かったの?」と
祖父は良くぞ聞いてくれたかと言わんばかりに、目を光らせながらこう言った。
「上手いどころか、この集落一の腕前やったわい!
彼奴が獲物を外すことはなかった。
じゃけん、いつも彼奴が仕留め役やったわい!」と声高らかに話した。
猪狩は、昔は集落の男衆総出で行っていた。
追手と打手に分かれ、特に銃の腕の良い者が打手の真打として仕留め役を任されるのであった。
祖父はいきなり健人にその散弾銃を渡し、こう言った。
「これはお前にやるわい!」と
健人は慌ててこう言った。
「俺、免許持ってないぞ!」と
祖父は健人に笑いながら言った。
「猟をやれとは言っておらんわい!ここに居る間、気が向けば免許を取れば良いわ。お前なら直ぐ取れるわ!
猪猟は、もう、ワシも年やから最近はしておらん。
鹿がのうぉ~、増えて、畑で悪さするけん、皆んなに頼まれて、鹿だけ撃ちよる。
わしと一緒なら免許なんか要らんわい!
健人が小学生の時と同じじゃ!」と
健人は小学生高学年の時、秋になるとよく祖父に連れられ鹿狩りに行った。
鹿を祖父が見つけ、健人に撃たせてくれていた。
その山は祖父の所有であり、他に山に入る者は誰もいなかった。
散弾銃を所持するには、銃刀法により、基本的には所持が禁止されているが、一般人でも地元の公安委員会に申請し試験を受ければ、合法で所持することができる。
その免許を取得するには、警察に行き、初級者講習や実地講習を受ける必要があり、試験に合格した後も、近年の凶悪犯罪事件の多発から、警察による身辺調査が行われる。
しかし、実際には、狩猟人口の減少による有害鳥獣の農作物被害などに悩まされている地方公共団体も多く、現状では警察組織に、個人が所有する銃を管理するための権限・用地もないといった実情があり、祖父の集落も過疎化が進み、猟友会のメンバーも減り、猪や鹿による農作物被害が深刻な状況であった。
健人は祖父から手渡された散弾銃を嬉しそうに手に取り、手馴れた様子でレバーをスライドし、引き金を引いてみたりした。
健人が握っている散弾銃は、
「装弾チューブの外側にあるスライドを前後させて装弾するポンプアクション式」であり、速射性に劣るものの、機構が至って簡単な物であった。
また、大物の猪や鹿を狙う時は散弾ではなく、スラッグ弾(一発の大きな弾体)を発射することも可能であった。
祖父は、健人の喜ぶ姿を見てこう言った。
「健人や!使い方、忘れておらんみたいやのぉ~、今度、一緒に行くか!」と
健人は「うん!」と子供のように嬉しそうに大きく頷いた。
健人は、この経験が、後に、堕天使ルシファーとして、サタン悪魔を葬る為の正に神から与えられた修道であるとは思いもよらなかった。
恭子は詩織の単なる性道具となっていた。
市議会議員は、英一から卑猥な写真を撮られ、マスコミに投稿しないことを条件に一身上の都合として辞職した。
今の恭子には、城下太郎や英一といった闇世界から政界に送り込まれた政治家を暴くといった正義的な宿命は微塵たりとも消え去っていた。
そんなことよりも、今まで隠避していた自身のアブノーマルな性癖、自身の身体的異常であるク○ト○スの巨大化を曝け出すことができるといった開放感に浸っていた。
更に言うならば、その性癖を満たすために、その巨大化した陰核を盛んに弄んでくれる詩織との性行為のために恭子は生きていた。
この日も恭子は英一のマンションの一室で詩織に弄ばれ続けていた。
シャブを打たれたク○ト○スは、この1か月で1cmは膨張度を伸ばしていた。
詩織の舌で巨大ク○ト○スの根元を散々に舐められ、
更には、あのペニスバンドにより、反り返ったペニス型のディドルをぶち込まれ、
膣内でグリングリンと回転する硬い亀頭部分が間接的に巨大ク○ト○スの根っこを内部から押し上げるように突き続け、
そしてバイブレーションの振動が電流のように巨大ク○ト○スの根元からてっぺんまで、その全てを包み込むようにビリビリと刺激するのであった。
恭子はあまりの快感に涙を流しながら、
「おぉ~、おぉ~、いぐぅ、いぐぅ、いぐぅ~」と雄のような逝き聲をし、絶頂を迎えるのであった。
その瞬間、詩織はペニスバンドのスイッチをすかさずオフにするのであった。
逝きかけた恭子は、半泣きになり、足をジタバタさせ、今度は乙女のような声で詩織におねだりをするのであった。
「お願い~、お願い~、逝かせて~」と
詩織は悪魔のような微笑みを浮かべ、また、スイッチをオンにする。
恭子は、また、焦らされるのが分かっているかのように、
「そう!そう!もう、イク~なんて言わないから止めないでね~」と言い、
また、1分もしないうちに、
「やっぱり、我慢できない!いぐぅ、いぐぅ、いぐぅ~」と逝き聲を発する。
また、逝く直前にスイッチを切られ、散々、焦らさせた挙句、最後は、スイッチをオンにしたまま、詩織自身も腰を激しく動かし、恭子は壮絶な逝きっぷりを見せるのであった。
「死んじゃう~、死んじゃう~、イク~、イク~、イッグゥ~ー!!」と絶叫し、目を見開いたまま、口から泡を吹き、巨大ク○ト○スをビックン、ピックンと、まるでク○ト○スが手招きをするかのようにひくつかせ、全身をブルブルと震わせながら失神KOされるのであった。
一方、詩織はMDMAの効果が薄れてきたのか、以前みたいに、気狂いのように快感を貪ることはなくなっており、
自分自身のセックス依存症のためというよりは、この英一、市長に抵抗する者を性行為により手懐けるといった意味合いの方が強かった。
詩織はまだあの快感を忘れることができてなかったのだ。
そのため、英一に協力する必要があったのだ。
そう、あの悪魔の液体「ヘ○イン」を味合うためには…
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