第4話 おニューのスキル

あれから二時間が経過した。ずっとスキル一覧を凝視していたからか目が痛い。だがそのおかげで今必要なスキルを選ぶことができたと思っている。


俺が選んだスキルは【短剣術】【察知】そして【神童】の三つだ。これらを選んだのは幾つか理由がある。


【察知】は単純に生存率を上げるため。先に敵に気付けるというのはこの状況においてかなりのアドバンテージだと考えた。


次に【短剣術】だ。これは短剣の扱いをマスターするために選んだ。どんなに頑張っても、学校内で手に入るのはこの短剣だけだった。ガチャで排出されるといっても、引いた後あの画面は二度と出てこなかった。使い方がわかっていなければ短剣も包丁も変わらない。宝の持ち腐れになってしまう。


最後に【神童】。これの効果は「ステータスの上がり幅が1.2倍になる」だ。そう、【先立つ者】と似た効果がある。この二つを合わせれば更に強くなれる。モンスターがいるこの世界において、重要なのは技術ではなく圧倒的な力だ。レベルアップの恩恵は計り知れない。


まあSPはまた稼げばいいしな!次に手に入れたいのは【身体強化 I 】だな。ということで今の俺のステータスはこうだ!


————————————————————


名前 戦場 蓮


性別 男


レベル: 5


職業 未設定


体力:1450 筋力:50 速度:50

防御:50 知能:52 器用:50


スキル

【短剣術 lv.1】【察知 lv.1】【神童】

【無限魔力】【魂操】【火種】


称号

【先立つ者】


————————————————————


どうやら体力を除いた各ステータスは10ずつ上がるらしい。体力は50ずつだ。また、【短剣術】と【察知】にはスキルレベルというものが存在するようだった。【神童】はこれ以上上がらないよう。


魔力に関してはあまり進歩がない。身体の中にを感じる程度だ。それを動かすことはまだできていない。


ちらりと窓の外を見ると、既に太陽は沈み夜になっていた。


「もうこんな時間か。.....濃い一日、いや半日だった」


この世界は今どうなっているんだろうか。床に寝転んでそんなことを考える。「世界の意思より」と書いてあったことから全世界でモンスターが湧いていると想像できる。でもゴブリンや狼だけなら自衛隊の銃やミサイルで一掃できるはず。スキルなんてものがある必要はない。なのにスキルを与えられたということは現代の兵器では倒すことが不可能なモンスターがいるからだろう。


俺が学校から真っ先に脱出しなかったのもその可能性を懸念していたから。外に脅威があるのなら、学校が破壊されるまでここで力をつける。そうしなければ生き残れない。


母さんや父さん、姉さんは無事だろうか。考えても仕方のないことだとわかっていてもそれをやめられない。


ゴブリンや狼が人を食っているのを見た。人の腸を見たのはあれが初めてだ。吐きそうにもなった。ゴブリンや狼を殺す感覚にも慣れない。不満がごまんとあるけどそれよりも重要なことがある。


俺は大丈夫だけどもっと小さい子供はどうしているんだろう。


ネガティブな考えばかりが浮かんでくる。夜寝る前はいつもこうだ。普段考えないようなことまで脳裏に浮かぶ。


そんなことを思いながら俺は眠りに落ちていった。





♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢





モンスターが出現してから一晩が経った。俺は今日もモンスターを狩りに行く予定だ。


防具とかがあれば良かったけど備品倉庫にそんなものがあるはずもなく。制服のまま「純黒」を手に持って部屋の外に出る。


どうやら部屋の外にはモンスターはいないようだ。血とか結構ついてるから狼がいるかと思ったんだけど.....。まあいいか。


今日は俺がいる一棟から一年生のクラスがある二棟に行こうと思っている。様子を見に行くついでに他のモンスターがいないかも確認したい。そのためにはまず二階に降りて渡り廊下を通らなければならない。ゴブリンと狼程度といっても何十体とかで来られたら流石に無理だ。慎重にいこう。


階段にいたゴブリンを奇襲で殺して二階に降りる。【察知】でおおよその数がわかるので安全に進むことができるな。二階にいたゴブリンが襲いかかってくるも、5体くらいならもはや脅威にはならない。サクッと倒す。


「【短剣術】の効果かな?昨日よりもスムーズに剣が扱えてる気がする」


実際ゴブリンの切断面を見ても荒さがないし短剣の特性、軽い、短いっていうのを上手く活用できてる。


そう考えるとスキルの恩恵っていうのはかなりのものだ。レベルアップと並行して上げていかなければ。


渡り廊下から外の様子を見ると、やはりモンスターがちらほら見受けられた。街の方からは煙が上がっている。


「ショッピングモールがなくなってる...?」


この渡り廊下から見ることができるはずの大型ショッピングモールがなくなっている。まさかビルごと倒壊したのか!?そんなことができるモンスターがいるのかよ?


だとすれば学校に残るって判断は間違いじゃなかったみたいだ。一層両親達が心配になるが、今の俺が行ったところで何ができる?俺は俺のやるべきことをやらなければ。


廊下を渡りきり、二棟に到着する。ここに着いてから会ったのもゴブリンばかり....。お前らはお呼びじゃないんだよ!狼の方が経験値が少し多いんだ。


曲がり角から飛び出して来たゴブリンを斬る。


ピロン!


————————————————————


レベルが上がりました!


————————————————————


またレベルが上がった。レベルが上がったことに気分を良くして先に進もうとしたその時



「きゃあああぁぁぁ!!!」



叫び声が聞こえる。誰かが襲われているのだろう。だが助けに行くべきか?あれだけの声を出せば二棟中のゴブリンが集まって来るだろう。危険を侵すべきではない。


俺は声がした方に背を向けて歩き出した。





_________________________________________


主人公は別にクズじゃないので!ご安心ください!次は6時に投稿!






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る