第23話 ヒカリ1


夢が叶ったわ!


イケメン王子様との結婚!


嬉しい。女神像に願った後の晩餐会は華やかでこれぞ貴族って感じでピカピカで綺麗だったわ。食事も美味しかったの。最高よね。



 私は異世界人だから帰る場所がないので現在使われていない後宮の1室に今日から住む事になった。


「ヒカリ様、侍女のマーリンがこれからヒカリ様のお世話をさせて頂きますので宜しくお願いします」


後宮に住み始めてしばらく経った頃、侍女長という人がマーリンを連れて部屋にやってきた。今までは王城の侍女の誰かが交代で世話をしに来てくれていたけれど、どうやら専属の侍女を私に付けてくれる事になったの!


「マーリン宜しくね」


「ヒカリ様宜しくお願いします」


マーリンは無表情で挨拶を返した。今までもそうだったけれど、侍女ってみんなこんなに無愛想なものなの?


王城務めの侍女だからプライドが高いとか?


 それにしても後宮ってもっと華やかな場所だと思ってたわ。そうでも無いのね。結構質素なのね。前に過ごしてた窓の無い部屋とそう大差ない気もするのよね。私はベッドに飛び乗りゴロゴロしているとマーリンから『はしたないです』と注意を受けたわ。


誰も見てないんだから良いじゃん。


「ヒカリ様、これから毎日妃教育を行う事になっております。この後、教師の方が来られますのでしばらくお待ちください」


「分かったー。めんどくさいなー。でも仕方ないよね。やるかぁ。そういえば、マーリン。後宮って質素なのね。もっとキラキラしていて豪華なのだと思っていたわ」


マーリンは何故か眉を顰めたがすぐに無表情に戻る。


「ヒカリ様、本来王家との婚姻する際、正妃側の実家が準備します。私物を購入する費用も妃様の実家が用意するか、自分で稼いだお金で買います。


現在、ヒカリ様は実家が無いため王太子妃の予算から出されています。妃教育の費用も全て予算から賄われております」


「そっかー。じゃあ仕方ないんだ。分かった」




しばらくするとマーリンの言っていた教師がやってきた。


「ヒカリ様、こちらの方が妃教育の知識を教えて頂くアンドル・ベルナルド様、こちらの方がマナー教育を教えて下さるジゼル・ロドリグ様です」


「宜しくお願いします」


2人ともとても厳しそうな人だわ。勉強なんて今まであんまりしてこなかったし、やっていけるかなぁ。


「ヒカリ様、早速ですが今からマナーの勉強を行って頂きます。そしてマナーの勉強が終わればこの本を読んで下さい。明日からの勉強内容になります」


そう言って積まれた本。私って異世界チートがあるおかげで時は読めるのよね。書く事は全く出来ないけど!それにしてもこの本の量。


「うへぇ。ほんとやんの?無理だわ」


「王太子妃の教育は幼少期から行われる物。これから数年に渡って学んで頂きます。では、私はこれで」


そう言ってベルナルド先生は本を置いて下がっていった。変わってロドリグ先生が口を開く。


「ヒカリ様、普段から言葉使いに気をつけて下さい。貴族達に足元を見られてしまいますよ」


「分かりました。ロドリグ先生」


そこからは厳しいマナー教育の時間になった。


何度も注意されて嫌んなる。


でもオディロンと結婚するんだもん。


 悪役令嬢とか私とオディロンの仲を邪魔する令嬢がいつ湧くかもしれないし、やるしか無い。正直、面倒くさいわ。




 毎日朝から晩まで勉強漬けでオディロンに会えない。


なんで?


もしかして結婚式まで会えないの?


これが普通なの?よく分かんないよ。勉強だってよく分かんないしマナーも口うるさい事しか言わないんだもん。


勉強が終わってからマーリンはお茶を淹れてくれるけど、マーリンはいつも無表情で雑談なんて一言もしないしつまんない。


「ヒカリ様、手が止まっていますよ。こんな事では公務に出る事が出来ませんよ」


「オディロンにいつになったら会えるの?ずっと勉強ばっかじゃん。オディロンとデートしたいんだけど」


「オディロン殿下は公務で忙しくしておられます。ましてや魔王討伐後は村々の被害状況の確認等休む間もない程です。我儘はお控え下さい」


マーリンも先生達も冷たく取り合ってくれない。


なんでなの?分かんないよ。

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